こんにちは。
PR現代の佐藤です。
7月に入りました。
まだ梅雨明けにはなっていませんが、毎日厳しい暑さが続いています。
この夏はいつまで続くのでしょうか……
「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策、進んでいますか?」
近年、社会問題として注目される「カスタマーハラスメント(カスハラ)」
宝飾専門店やきもの専門店でも、接客現場で理不尽な要求や暴言に悩む声が増えています。
実は国や自治体でもカスハラ対策を後押しする動きが進んでおり、助成金や奨励金の活用も可能です。
今回は、経営者として知っておきたい最新情報と、具体的な対策ポイントをまとめました。
■ カスタマーハラスメントとは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先からの暴言・暴力、不当要求などにより、従業員の就業環境が害される行為を指します。
【宝飾・きもの店での具体例】
- 修理や加工の納期に対する度重なるクレームと罵声
- 無理な値引き要求が通らないとSNSで悪評を書き込むと脅す
- サイズ直しに対し「使えない商品を売りつけたのか」と怒鳴る
こうした事例は、スタッフの心身に大きなストレスを与え、退職や接客品質低下の原因にもなります。
■ 国や各自治体の動き
令和7年労働施策総合推進法等一部改正法
2025年の改正法案、令和7年労働施策総合推進法等一部改正法は、企業の従業員に対する労働環境の改善を促進し、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止を含む重要な改革が盛り込まれる予定です。この法改正は、従業員の働きやすい環境づくりと、企業が求められる社会的責任の強化を目的としています。
- カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義と企業の責任
- カスタマーハラスメントは、顧客や取引先から従業員に対して、過剰な要求、暴言、暴力などを加える行為を指します。
- 改正法では、カスハラの防止に向けた企業の責任を法的に明確化する方向が示されています。具体的には、企業に対してカスハラ防止措置を講じる義務が加わることが予想されます。
- 義務化されるカスハラ対策
- 防止措置の義務化: 企業は、カスハラを防ぐためのマニュアル作成や従業員教育、相談窓口の設置などの具体的な対策を講じることが義務化されます。
- 訓練・研修の実施: 従業員に対して、カスハラの発生時にどのように対処するか、日々の接客や業務でどのようにトラブルを未然に防ぐかについての研修が義務化されます。
厚生労働省 ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/001502758.pdf
【各自治体などの動き】
- 東京都、北海道、群馬県で:「カスタマーハラスメント防止条例」2025年4月より施行
- 東京都 「カスタマーハラスメント防止対策奨励金」を実施
- 大阪府・兵庫県:相談窓口や啓発活動を強化
- 愛知県、三重県では制定する方針
- 岩手県、栃木県、埼玉県、静岡県、和歌山県では制定を検討
- 全国的に:2022年パワハラ防止法義務化後、カスハラ対策も企業リスク管理として重視
■ 東京都の奨励金制度 – カスハラ対策を後押し
東京都では、中小企業のカスハラ対策を支援する「カスタマーハラスメント防止対策奨励金」を実施中です。
【概要】
- 対象事業者:東京都内に事業所を有する中小企業
- 助成対象経費例:
- 社内研修費用
- 対応マニュアル・通知資料作成費用
- 相談窓口設置、外部専門家活用費用
- 奨励金額:定額40万円
【申請ポイント】
- 社内規程へのカスハラ防止対策明記
- 研修実施や全社員への周知徹底
- 申請期限・必要書類を公式サイトで確認
詳しくは東京都カスタマーハラスメント防止対策奨励金公式サイトをご覧ください。
【専門店が行うべき具体的なカスハラ防止策】
■ 1. 対応マニュアルの整備
- カスハラ発生時の一次対応フローを明確化
例:
①スタッフは感情的に反応せず傾聴
②危険を感じたら上長へ即報告
③記録用紙に日時・内容を詳細記入
④必要に応じて顧問社労士・弁護士に相談 - マニュアルは全スタッフが見える場所に設置する
■ 2. 社内研修の実施
- 年1回以上のカスハラ対応研修を実施
- 内容例:
- カスハラと正当なクレームの違い
- 感情的にならずに対応する技術
- 想定問答集を作成しロールプレイ実施
■ 3. 店頭・HPでの周知
- 店頭ポスターやHPに
「ハラスメント行為はご遠慮いただきます」
という内容を掲示し、毅然とした姿勢を示す
(例:国土交通省・JR各社でも駅ポスターを展開中)
■ 4. 相談窓口の設置
- 小規模店舗でも相談窓口担当者を決める
- 社内で対応が難しい場合は、商工会議所や顧問社労士・弁護士と連携
■ 5. 事例共有と心理的安全性の確保
- 月次ミーティングでカスハラ事例を共有し、個人が抱え込まない風土を作る
- 「困ったときは必ず報告していい」という文化づくり
■ 6. 防犯カメラ・録音機能の活用
- 接客スペースに防犯カメラや録音機能を設置し、お客様にも告知
- トラブル発生時の証拠保全が可能になる
■ 7. 外部専門家との連携
- 定期的に社労士や弁護士とカスハラ対応策を見直す機会を設ける
- 助成金や奨励金活用の相談も同時に行う
■ 社内への通知例
【通知例文】
「近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題となっています。当社ではスタッフを守るため、対応マニュアルを整備し、今後研修を行います。お客様への誠実な対応は変わりませんが、理不尽な要求や暴言・暴力に対しては、会社として毅然と対応します」
■ まとめ
カスハラ対策は「お客様第一主義」に逆行するものではありません。
スタッフが安心して働ける環境があってこそ、本当の意味で心からの接客が可能になります。
また、カスハラ防止策は「スタッフを守るため」だけでなく、
お客様にとっても安心・安全に買い物ができる店づくりにつながります。
国や自治体の奨励金を活用し、カスハラ対策を経営課題として取り組むことで、スタッフ定着率の向上と店舗ブランドの維持につながります。
今こそ、自店の体制を見直す機会としてはいかがでしょうか。