「年収70万円の壁」とキャリアアップ助成金 専門店経営者がいま知っておくべき雇用と補助の話

「年収70万円の壁」とキャリアアップ助成金 

こんにちは
PR現代の佐藤です。

ゴールデンウィーク真っただ中!
5月前から暑さもスタートしていますね。
今年の夏も猛暑予想で正直、夏が来るのが恐いですね。
「四季」から9月〜10月を「まだ夏」として「五季」と呼ぶようになってきているとか…………

今回は、「年収70万円の壁」とキャリアアップ助成金について。
前回お伝えした「年収160万円の壁」に続いて社会保険に関わる壁とピンチをチャンスに変える助成金についてお伝えします。

専門店こそ、いまこそ知っておきたい“雇用と助成”の話

「2025年問題」(国民の5人に1人が後期高齢者の超高齢社会)が話題になっています。
昨年から取り沙汰されている年収の壁問題もそのひとつです。
とりわけパートやアルバイトを多く抱える宝飾店・きもの専門店にとって、この問題は避けて通れません。
「もっと働きたいけど、社会保険に入りたくないから無理なんです」と、希望するシフトに入ってもらえなかった経験はないでしょうか?
この“壁”に正しく向き合い、制度を味方につけることが、これからの専門店経営において重要なカギとなります。

「年収70万円の壁」とは?

2025年の年金制度改革において、社会保険の適用範囲が拡大される可能性があり、これにより「年収70万円の壁」が生じると予想されています。
現在、社会保険への加入義務が発生する年収の基準は約106万円ですが、2025年の制度改革により、この基準が引き下げられる可能性が指摘されています。
具体的には、社会保険の標準報酬月額の最低額が現行の8万8,000円から5万8,000円に引き下げられると、年収約70万円から社会保険への加入が必要となる可能性があります。

このラインを超えると、扶養から外れ、厚生年金・健康保険の本人負担が発生します。そのため、働き手が自ら「これ以上働きません」とブレーキをかける現象が起きる可能性があります。
特に、時給1,100円で月60時間ほど働いている人が、70時間に増やすだけで壁を超えてしまう場合、雇用側が時間を増やしたくても、本人がそれを拒むというジレンマが発生します。

現行では以下の条件をすべて満たす方が社会保険加入対象となります。
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.雇用期間が2か月を超える見込みがある
3.賃金の月額が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
4.学生ではない
5.従業員数が51人以上の企業に勤務している
これらの条件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられます。

これが年金制度改革で現行の106万円から70万へと大幅に金額が下がり、
更に従業員数も制限がなくなるといわれています。
未確定ではあるものの、早ければ2025年秋といわれていますので、準備が必要です。

処遇改善と助成金で“壁”を乗り越える方法

そんな中で、国はこの壁を乗り越えるための制度を用意しています。
そのひとつが「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」です。
これは、短時間労働者に社会保険へ加入してもらい、さらに“処遇改善(待遇アップ)”を実施した場合に、事業主に対して労働者1人当たり最大57万円(正社員化コース)の助成金が支給される制度です。

▶ 主な支給要件(2025年4月時点)
• 労働時間が週20時間以上で、所定の要件を満たす短時間労働者に社会保険加入を実施
• 加入にともなう「手当の支給」や「キャリアアップ計画書」の策定が必要
• 就業規則や賃金規程などの整備もあわせて行うこと
正確な申請手順や支給条件は、厚生労働省または管轄のハローワーク・社労士等への相談をおすすめしますが、制度としての基本は「社会保険加入に伴う負担を国が支援する」という仕組みです。

20名以下の専門店がとるべき行動とは?

宝飾やきものの専門店では、少人数での運営が多く、スタッフの柔軟な働き方が売り上げと直結しています。そのような中、以下のようなアクションが重要です。
① 社員・パートとの「年収の壁」に関する対話
まずは、現場スタッフに年収の壁についての意識や不安をヒアリングしましょう。「社会保険に入るのが怖い」「手取りが減るのでは」といった不安に対して、店舗側から制度やメリットを丁寧に伝えることが必要です。
② 就業規則・賃金制度の見直し
助成金の申請には、一定の制度整備が必要です。就業規則の変更や、手当の新設を行うことで「社会保険に入っても働きやすい環境」をつくることが求められます。
③ 社労士などの専門家との連携
助成金の申請や制度の整備は専門的な要素も多いため、顧問社労士などとの連携を図り、計画的に進めることが成功のカギとなります。

経営者へのメッセージ ― 制度は“味方”になる

社会保険加入=コスト増と考えると、つい後ろ向きになります。しかし、長期的に見れば、しっかり働いてくれるスタッフが安心して働ける環境を整えることは、「人材の定着」と「お客さま満足度の向上」につながる投資です。
「人が辞めない」「接客品質が上がる」「紹介・リピーターが増える」——それこそが、小規模な専門店にとって最大の武器です。
制度を理解し、助成金を活用し、働く人に寄り添った改革を進めていきましょう。

おわりに

少人数の専門店だからこそ、フットワーク軽く制度を味方につけられる強みがあります。変化の激しい時代に、「知らなかった」では済まされない制度対応。いまこそ、自店の人材戦略を見直すチャンスです。
スタッフを守り、経営を強くする。その両立に向けて、一歩を踏み出してみませんか?

キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/001346532.pdf

ご不明な点やご質問がありましたら、PR現代 総務部 佐藤までお気兼ねなくご相談ください。

 

 

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