JJA主催パネルディスカッション レポート「顧客にとってオンリーワンになるために」JJF2024 ブライダルジュエリーのヒントがここに!

JJF2024パネルディスカッション顧客にとって「オンリーワン」の存在になるために

2024年8月28日(水)〜30日(金)東京ビッグサイトで開催中の「JJA2024」の初日、日本ジュエリー協会(JJA)主催によるパネルディスカッションが行われました。

テーマは「顧客にとってオンリーワンになるために」。ブライダルジュエリーの現状とともに今後どのような対応が求められるかなど、たいへん意義深い内容でしたので、ここにその一部を紹介します。(取材・文:下島仁)

【パネリスト】
フェスタリアホールディングス(株)代表取締役 貞松隆弥 氏
(株)サカイ 専務取締役 酒井聖子 氏
(株)CAFERING クリエイティブディレクター 青木今日子 氏
進行:(一社)日本ジュエリー協会 ブライダルダイヤモンド分科会リーダー 大畠勝彦 氏
※以下敬称略

ダイヤモンドエンゲージリング 購入・非購入の実態調査をもとに現状を共有

大畠
日本ジュエリー協会「ブライダルダイヤモンド分科会」では、「購入・非購入の実態調査」を踏まえ、直近の市場動向を把握し、対策をディスカッションしています。「モノ」から「コト」へ、顧客の意識が変化する現在、宝飾業界を代表するパネラーとダイヤモンドエンゲージリングの普及のために〝今できることʼ’をテーマにディスカッションをすすめていきたいと思います。

各社のコンセプトやブランドの特徴について

大畠
はじめに各社のコンセプトやブランドの特徴をご紹介ください。

貞松「フェスタリア」のコンセプト
フェスタリアのコンセプトは、「ビジュドファミーユ」です。故ガビ・トルコフスキー博士から教わったことですが、西欧にはこの『ビジュドファミーユ』(家族の宝石)という習慣があります。地球が誕生して50億年、人類が誕生して20万年、人類は滅びるかもしれないがダイヤはそれ以前から存在し、その後も残り得る。フェスタリアは「ビジュドファミーユ」というかけがえのない精神的価値をエンゲージリングを通じて届けています。

酒井:オリジナルブランド『ローズマリー』
サカイブライダルのオリジナルブランド「ローズマリー」は発表から20年になります。今はフルオーダーをメインに展開しています。お客さまの求めるオンリーワンの価値を提供することを大切にしています。

青木:2つのブランドを展開中
「カフェリング」は母がクリエイティブを担当し、プラチナがメイン素材で、やわらかな曲線と女性らしいイメージを大切にしています。私が手がける「カフェリングK」は主にゴールドをメインとし、直線的なデザインが特徴です。母と私の好みがそれぞれ現れたデザインとなって違いを生み出しています。

私の知り合いの女性20人のうち、エンゲージリングの意味や必要性、価値を伝えたら19人が興味をもち購入してくれました。買わなかった一人も結婚後しばらくしてから「欲しい」ということを言ってくれました。それは、エンゲージリングの意味や必要性を伝えているからだと思います。

大畠:オンリーワンのキーワード
ビジュドファミーユ「家族の宝石」(フェスタリア)
地域立脚、ライフスタイルに沿ったコミュニケーション(サカイ)
◯共感を呼ぶオンリーワンのジュエリー(カフェリング)

 

エンゲージリングは「いる?」「いらない?」

大畠
今回の調査によると、エンゲージリングの取得率、検討予算、実際の購入金額は次のようになっています。

取得率 検討予算購入金額
2021年 45.0% 28.7万  25.7万円
2022年 44.3% 27.4万 25.7万円
2023年  42.8% 28.9万 25.6万円

貞松
取得率が下がっているだけではなく、婚姻組数も減少していますので事態は本当に深刻です。しかし人口が減っても売れる商品もあります。フィリップ・コトラー博士の言葉にもある通り、いまは「こころ消費」であり、「この人がすすめるなら」とか、「エモーショナルな価値」と結びつくと売れなかった商品も売れるようになると考えます。

みんな結婚式はしたいし、そのときに必要なアイテムなら欲しくなる。だから結婚指輪は購入されています。翻って婚約指輪とは何でしょう? ふたりの愛の証し? 購入するものだと思った? 憧れ? パートナーが喜ぶと思った? でもお金がもったいない。結婚後の支度にその費用を充てる・・・。 マリッジリングがあるから良いと思ってしまう、これでは取得率は下がります。エンゲージリングには、カトリックの教えから伝わる、そのお家のつながり、バトンの意味が込められています。エンゲージリングは、女性のこれから産まれるであろうお子さんに伝える最高のバトンです。

結婚式当日に使うお花の費用はおよそ36万円だそうです。エンゲージリングの購入価格はそれよりも低いんですね。要るものはいる、要らないものはいらない。要るものにするには? ということを考え実行することが大事だと思います。

酒井
お客様の中には「エンゲージリングを作らなくてあとから後悔した」という方もかなりいらっしゃいます。私どもではエンゲージの意味を伝えることをはじめ、お渡しするシチュエーションまでご提案し、サポートに努めています。

青木
必要性をSNSや接客でしっかり伝えることが大事ではないかと思います。女性はやはりエンゲージリングのダイヤが大きくなると気持ちよいものですし、歳を重ねた時にエンゲージリングを着けると手がきれいに見えるというようなことも、接客やインスタグラムで伝えるようにしています。また、前述の知り合いのように、結婚後、少し経済的に余裕が出てきたら購入するのもありだと思いますし、そういう提案も特にSNSを使ってどんどんしていかないといけないと思います。

現場で感じる「ターゲット層の変化」について

大畠
多様性、SDGsへの対応など、柔軟な対応が必要な時代とされていますが、実際、現場ではターゲット層の変化についてどのように感じていますか?

貞松
ひとことで言えば「二極化」です。購入する方は海外のラグジュアリーブランド、購入しない方はまったく購入しないという二極化です。いまエンゲージリングの購入は外資ブランドが圧倒的に強いです。ちなみに昨年のクリスマス商戦もラグジュアリーブランドが強かったです。購入単価も上がっていました。また昨年からの変化としては、ギフトとして化粧品が強くなった印象です。

ライフスタイルでいえば「多様化」です。プロポーズは男性からというのも一面的で女性からするケースも多いと思いますし、しないでいつのまにか結婚していたという場合もあるでしょう。さずかり婚も当たり前のようにありますし、マリッジリングは男性の方がこだわってお金も時間も手間もかけるというケースも多々見られます。

酒井
お母さまやおばあさまからのダイヤをリフォームしてエンゲージリングにする
というお客さまを大切にしています。また、毎日身に着けられるということで、エンゲージウォッチの需要もあります。

青木
結婚式の案内をHPでされたり、SNSで結婚パーティーのドレスコードを発信したり。スマホ、デジタルを使った案内や表現もかなり増えたと思います。購入スタイルとしては、エンゲージリングを割り勘でお作りになるお客様が増えていますし、マリッジリングも割り勘のカップルが増えました。

「オンリーワンのブランディング」のためにしていることは?

大畠
オンリーワンのブランディングのためにしていることは何でしょうか?

酒井
提携工房にてオンリーワンのジュエリーをオーダー制作しています。熟練のスタッフが丁寧に仕事をしてくれています。

青木
五感(視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる))でリング選びを楽しめるような店舗空間づくりをしています。また、結婚後も記念日に足を運んでもらえるような店づくりを目指しています。お客様のリクエストにより、エンゲージリングのサイドにピンクダイヤを入れるような対応はもちろんのこと、30代・40代になったときにリ・モデルできるということも訴求しています。

貞松
オンリーワン、一緒に作り上げていく体験価値を伝える「Webシュミレーション、オーダーメイドシステム」を昨年あたりから各店に導入しています。各店舗で接客の際に、オンラインでベトナムの直営工場と直接繋げて、原型デザインを作り、見積もりもその場で提示するシステムです。このシステムを導入した結果、マリッジリングの場合メンズのオーダーが多くなりました。このシステムは、FC展開により全国の小売店様にもご希望により提供いたします。当社は今後、IT企業を視野に入れています。

また、ラグジュアリーブランドに勝つために、当社独自のオリジナルダイヤモンド「ウィッシュアポンアスター ダイヤモンド」もかなり浸透してきました。これは単に星形のダイヤを売っているのではなく、エモーショナルなこころの満足を届けているのです。
 

購入の背中を押すトーク、そしてオンリーワンとは?

大畠
最後の決め手はやはり店頭での接客力だと思います。お客様の背中を押すトーク、そしてオンリーワンについて思うことを最後に教えてください。

青木
婚約指輪は自分の好きなスタイルで着けて良いと思います。絶対に薬指だけしか着けてはいけないものではありません。いろいろな指に着けて楽しめることもインスタグラムを見せながら伝えています。エンゲージリングはやっぱり『かわいい、テンションが上がる、今日がんばれる』そういうことを伝え続けています。これからもエンゲージリングのいろいろな楽しみ方を発信していきたいと思います。

酒井
当店では入店前からお客様に感動を伝えるための心構えが大切だということを社員と共有しています。例えば、夜寝る前に今日の自分の行いを振り返りまわりに感謝するということなども教えています。お客様の背中を押すトークは日々の行いや心持ちなどから滲み出てくるものだと感じております。お店は劇場。購入には意味があります。お店自体や自分自身がお客様にとってオンリーワンとなれるよう磨いていきたいと思います。

貞松
ある調査では、新宿伊勢丹本店の来店客は事前にブランドを決めているのは10人のうち1人くらいだそうです。ですので接客時の言動はとても大切ですね。やはり考え方の発信が大事だと思っています。例えば「何かお探しですが?」ではなく『これいいと思いませんか?』というようパーソナルな発信です。酒井さんがおっしゃったようなお母様のダイヤで作るエンゲージリングは、その家のつながり、家族愛の象徴ですね。英国の皇室のように男性がひざまづいて贈るお母様の指輪、宝物の継承、素敵だと思います。多様化の時代ですので「うちのブランドはこういうことを大切にしています」と、ちゃんと伝えることが大事だと思います。そしてそれに共感してくださるお客様をファンにしていくことが大切だと思います。

大畠
本日はまことにありがとうございました。

今日ご紹介した「ダイヤモンドエンゲージリング 購入・非購入実態把握調査」についてはJJAのホームページから、JJA会員限定ですがご覧いただけます。

JJAダイヤモンドエンゲージリングキャッチコピー公募

JJAでは、今の時代にマッチした「ダイヤモンドエンゲージリング普及促進のためのキャッチコピー」の一般公募を開始するとのこと。来年1月には発表できるようすすめていくとのお話しもありました。

 

 

 

 

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