JMG新年度フォーラム2026 開催レポート
開催日時: 2026年2月10日(火)
開催形式: リアル&オンライン
2026年を勝ち残る宝飾店戦略を開催
宝飾・時計・メガネ、きもの、寝具に特化したマーケティング・企画広告会社「㈱PR現代」(東京・日本橋)は、主宰する宝飾小売業経営者が集うマーケティング研究会「JMG(ジュエラーズ・マインドグループ)新年度フォーラム2026年を勝ち残る宝飾店戦略」を2月10日(水)に開催しました。ここではそのダイジェストをご紹介いたします(文:PR現代 下島仁)

第1部:業界動向と市場展望
開会挨拶 JMG会長 花島路和 氏
花島路和会長(ジュエリーハナジマ代表取締役)は、総選挙後の国際情勢に触れ、各国のニュースで「国力が衰えていた日本」という表現が使われていることへの驚きを表明。ヨーロッパからは日本の衰退が指摘される一方、金やプラチナの高騰、円安の進行など、業界を取り巻く環境の変化を指摘しました。
こうした状況下で、基礎的な顧客対応力の重要性を強調し、10金・9金での製品展開や、変色しないシルバーなど新素材の活用がすでに始まっていることを紹介。「生成AIではなく、人真似でもなく、自分たちの力で、メンバーの力でお客様の喜びのために、現状を変える行動力や、自社ならではの独自性の大切さ」を呼びかけました。
最新ジュエリー市場解説
一般社団法人 日本宝飾品貿易協会 代表理事
『ジャパンプレシャス』(矢野経済研究所)編集長
JMG顧問 深澤 裕 氏
深澤氏は、2025年のジュエリー市場について「単価上昇」と「数量増加」という2つのトレンドを指摘し、主な要因として以下を挙げました。
- 地金高騰による各社の値上げ
- チェーン類の好調な販売
- 海外ブランドとインバウンド需要に陰り
インバウンド市場の変化
インバウンド需要については、中国人観光客のみが日本でジュエリーを購入している状況を指摘。円安の影響で輸入ジュエリーが急増し、現在は販売の6割がインポートブランドとなっていますが、これは「日本のものづくりの危機」であり、職人・技術が守られず、高齢化も進行している現状を懸念しました。
プラチナサファイアピアスの事例から見る国産ジュエリーの可能性
深澤氏は、某海外ブランドの「ブルーボックス」付き製品と国産ジュエリーを比較し、「品物では負けていない」として、国産ジュエリーを今こそ売るべきと強調。
国内マーケットの動向
・所得別分析:所得自体は変わらないものの、将来への不安から消費を控える層が増加。
・地域別ジュエリー支出:2019年と2024年のデータを比較し、将来的に販売のメインターゲットとなるのは60代・70代であることを指摘し、人口減少も見据えた戦略が必要としました。
・AI時代の人間関係:「AIが進化すると、人はもっと人との繋がりを求める」として、対面販売の価値を再評価しました。
ブライダルリング市場の展望
ブライダルリング市場は伸長傾向(地金価格上昇が続く限り)にありますが、ただしエンゲージリングについては「やめるか、ラボグロウンにするか」の選択が進むと予測しています。
今時のブライダルリングの買い方の傾向として、このまま検索での購入が進めば大手ブランドが勝ち組になると分析。エンゲージリングを伸ばすことが鍵となるが、問題は経済的豊かさを実感していない層にどう購入してもらうか。取得率アップの一つのキーはラボグロウンダイヤモンドにあるとしました。
金をめぐる国際情勢
マレーシアでのゴールド会議、中東・ドバイでの動き、中国のショッピングセンターでの金回収機設置など、世界的な金の争奪戦が激化しています。中国では新たな金鉱脈も発見されているので、今後のマイニングに注目したいとのことです。
一方、日本は海外に比べ投資熱が低い状況にあり、小売店の在庫対応としては、金ジュエリーの軽量化、類似金、ハードゴールドなどの活用が進むのではとのことです。
真珠市場の変化
真珠バブルが崩壊し、養殖業者の後継者問題が深刻化する中、松本真珠などの取り組みが注目されています。「素材から作れるジュエリーには力を入れていきたい」と述べ、ベトナムの養殖技術向上にも言及しました。
買取業態の伸長
買取価格高騰により中古品が売りにくくなり、新品にチャンスが訪れている。
まとめ
深澤氏は「海外の現状を見るべき」と強調。反日感情なども現地では感じないとし、実際に足を運ぶことの重要性を訴えた。最後に「日々の業務が忙しくても、海外に出て自分の目で見てみる機会を持ってほしい。新しい発見が5年後、10年後に繋がってくる。日々の業務だけ見ていては限界がくるのも事実」と締めくくりました。
第2部「これからの時代の『天然ダイヤの魅力の伝え方』」
(株)PERFECT 代表取締役
日本グロウンダイヤモンド協会 代表理事
石田 茂之 氏
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石田氏はまず「ラボグロウンダイヤの人間と思われているが、基本は天然ダイヤモンドにあります」と自己紹介。ダイヤモンドを専門に扱う家に生まれ、業界を深く理解する立場から講演したいとの意向を伝えてくださいました。
デビアスの戦略転換
デビアスが書籍を出版した背景について解説。「ダイヤモンド・フォーエバー」キャンペーン100周年を迎え、100年のマーケティング実績を持つ同社だが、株価下落により売却を検討。会社のバリューアップのための施策として書籍出版を位置づけた。
4Cとグレードの再定義
従来の4Cは元々「希少価値の目安」として設定されましたが、本来4Cは保険鑑定人のために作られた基準であり、「これはいずれ壊れていく」と予測しました。
「なぜ天然ダイヤモンドは10倍も高いのか?」への回答
若い世代が購入の中心となっている現在、将来その世代に説明できるようにしなければならないとし、東京銀座に旗艦店舗を2つのブライダルジュエリー企業の取組みをもとに詳しく紹介しました。
これからの100年は「原石の時代」
カットの時代は終わり、原石の時代へと向かうことを確信していると石田氏は言います。
天然ダイヤモンドは30億年の歳月をかけて形成されます。海外でカットされ研磨されても、その価値に対して「安すぎるのでは?」と問題提起しています。
それに対してラボグロウンは2週間で製造可能です。カットはレーザーで大部分ができる時代になった今、価格低下が進んでいます。
料理に例えると「素材が違えば、シェフが同じでも味は違う」のと同様、ダイヤモンドもきれいな原石をカットするからきれいに輝く。これからは筋の通ったダイヤモンド、トレーサビリティーのしっかりしたダイヤモンドを扱うことが、天然ダイヤのストーリーを語ることができ、販売する鍵となると説きました。
ラボグロウンダイヤの進化について
ラボグロウンダイヤは今後も進化し続け、10年後には生成スピードも輝きも違うダイヤモンドができるだろうと予測。石田氏は会場に持参した「トランプカット」のラボグロウンダイヤモンドを回覧し、技術の進歩を示してくれました。
最後に販売店への提言として、「“原石”という言葉を発信してください。ラボグロウンがあるからこそ、原石の良さを伝えるべきなんです」と締めくくりました。
第3部:YouTube集客への取組みパネルディスカッション
YouTubeが連れてくる『優良新規客』〜現場で起こっている衝撃の事実を発表〜
パネラー
○花島路和氏(ジュエリーハナジマ 代表取締役/東京都江戸川区)
○前田知彦氏(ジュエリーハナジマ 店長/東京都江戸川区)
○谷田卓也氏(タニダ 代表取締役/埼玉県熊谷市)
○山口勝司氏(ジュエルヤマグチ 専務取締役/愛知県名古屋市)
ファシリテーター
三澤慎太郎(株式会社PR現代 専務取締役)

【質問1 導入】
YouTubeを始めたきっかけ、始める際の不安を教えてください
花島氏
Web広告に多額の費用をかけてきましたがコスト面を考慮し、4年ほど前からYouTubeの活用にシフトしてきました。YouTubeは宝石の輝きを多くの人に見てほしいと始めました。
前田氏
不安はあまりありませんでした。顔出しについてもあまり気にせずに、まずやってみることにしました。結果的にお客様からのご要望やご期待に応えていった形です。
谷田氏
コロナ渦以降、来店客が戻らず焦っていたことと、車で20分の距離にアウトレットができたことが心配材料でした。何から始めればいいのかわからず、機材もわからなかったのですが、PR現代の三澤氏に「ケータイでいっぺん撮ってみましょう」と軽い感じで言われました。「とりあえず100本」を目標に週1〜2本投稿しています。大手に勝つための戦略として「尖る」をテーマにとりあえず開始しました。
山口氏
私も同じでPR現代の三澤氏に「とりあえず始めてみたら」と言われて、抵抗なく始めたのがきっかけです。
【質問2 変化】
YouTubeをやってみて「一番変わったこと」は?
①お客様 ②社内(スタッフ・現場) ③ご自身 の3つの視点で教えてください。
花島氏
来店するお客様の種類が変わりました。お客様の欲しいものを探るところから入っていたのが、あらかじめ見たい商品がわかっているところから始まるように。接客しやすい反面、江戸川区に来てもらうメリットを出すため、工夫をするようになりました。
前田氏
提案までのプロセスで言語能力が高まったと感じています。効率的に良いものを作るため、接客能力を高める必要が出てきたからだと思います。
谷田氏
YouTubeを始めて2週間くらいで近所の鰻屋さんが「始めたんだね」と。時計やジュエリーの修理の問い合わせが顕著に増え、スタッフも動画を活用してくれるようになりました。「尖る」ためのアプローチが変わり、深いところまで話せるようになり、スタッフもそれを聞いて変わっていくという良い循環が生まれました。
山口氏
名古屋以外からの問い合わせが増えました。スタッフが「動画見てくる人が増えたね」と言ってくれます。YouTubeを見たお客様がLINEで問い合わせてくることも増え、顧客の要望に即座に応えることができるようになりました。
【質問3 失敗・苦労】
YouTubeを始めて、辛かったこと・困ったこと・失敗したことは?
花島氏
期待を裏切ることができないという重責が出てきました。エゴサーチはするな、見直すなと前田氏にアドバイスされました。
前田氏
辛かったことはないが、プライベートで動画を見ていても自分の動画のサムネイルが出てくると、家族や近所などに見られているという良い緊張感が生まれました。出勤時も退勤時もエレガントでいなければと気を使うようになりましたが、その時期を通り越すと気にならなくなりました。
谷田氏
初めてお見えになるお客様はこちらが知らなくても、向こうは知っている状態に。撮影中にセリフを噛むと精神的ダメージがあるので、PCに台本を表示し、オンオフのスイッチをうまく使い分けることができるようになりました。登録者数や再生回数は販売成約に直接的に影響がないので(実際そうでしたが)、三澤氏からは気にするなと言われました。
山口氏
特に何も問題はなかったです。
【質問4 継続】
やめなかった理由、続けられた理由を教えてください
花島氏
まずYouTubeはWEB広告と違って、掲載料は無料です。動画はわかりやすく伝わります。お客様もいろいろな動画を見て比較し、進化していくので、日々努力や工夫をするようになりました。
前田氏
顧客からダイレクトに褒めてもらえる反応が返ってくるのでやりがいがあります。撮影は面倒だと思うこともありますが、続けられるよう協力体制を組むことも大事だと感じます。
谷田氏
反応があるから続けられています。動画に寄せられるコメントも励みになりますし。商圏を広げるという目標もあり、実際に海外、特にロシアからの問い合わせも増えました。電池が送れないなどの課題はありますが、イベント告知など色々な情報を流せるメリットにも気づきました。動画を見てYahoo!ニュースが取材に来たり、イベント中に流したら集客につながったりといったこともありました。
山口氏
これをお話ししている今もLINEで問い合わせが来ています。反応が出るまで半年から1年くらいかかりますが、出始めるとやめられなくなります。
【質問5 お客様】
YouTubeを見て来店・購入された方は、どんな方が多いですか?
前田氏
LINEの問い合わせも増え、実来店なしで高額な商品もご購入いただいております。動画を見て信頼しているからと、お客様が振込で購入してくださることもあります。山口さんのように即レスはできなくても、できるだけ早く対応するようにしています。値引きなしの顧客であることも大きいですね。店舗があることで信用してもらえるのだなと感じます。
谷田氏
秋田から古い手巻き時計の修理依頼があったり、九州からも問い合わせが来たりします。ハワイ在住のお客様がピアスを予約し、来日時に購入のため来店したことがありますが、そのお客様の紹介でハワイの別のお客様も購入されたりと、本当に商圏が広がりました。
山口氏
名古屋で開催のミネラルマルシェに出店しているんですが、動画で翌月のイベント告知をし、マルシェに来てもらっています。
【質問6 ふりかえり】
YouTubeを始める前の「自分」に、ひと言メッセージを伝えるとしたら何と言いますか?
花島氏
「間違いなく(やらないのは)間違ってる」と言います。過去にたくさんの機材を揃えて大変な思いをしてやったこともあるが、その経験があったからこそ「今すぐやろう」と言えます。
前田氏
やった方がいいということだけは伝えたい。失敗も含めてやって無駄なことなど一つもありません。成果を感じたのは1年くらい経ってからで、それまではレスもなく手応えもありませんでした。継続が大切だとつくづく思います。
谷田氏
愚直にコツコツがんばれ、慣れると楽になるよ!と伝えたい。熊谷のような立地だからこそやってよかったと感じています。動画を始めてからジュエリーリフォームの問い合わせが非常に多く、週に2件ほどご相談があります。YouTubeのチャンネル登録者数は十数人ですが、「数に惑わされるな!結果が出るかどうかは登録者や視聴者数だけじゃない」です。
山口氏
シンプルにやってきてよかったです。
パネルディスカッションまとめ
三澤
パネラーの皆様の取り組みから、宝飾店における、YouTube戦略の3つのタイプまた、取り組み際のポイントを紹介させていただきます。
◆宝飾店における、YouTube戦略の3つのタイプ
- ストアブランド追求型(ジュエリーハナジマ)
自社の強みを最大限に発揮する。クオリティーの高い動画と写真を活用。
→ 閲覧 → 信頼 → 問い合わせ&来店 → 成果 - キャラ追求型(ジュエルヤマグチ)
店名をあまり出さずにスタート。「マッチョジュエラー マーシー」のキャラクター化(いつも半袖)。
→ 閲覧 → 合うタイプがファン化 → 問い合わせ&来店 - 商品特化型/尖り戦略(タニダ)
時計やジュエリーリフォーム、限定品などのニッチな市場に絞り込んで展開。ネットユーザーやオタクも知らないような情報を盛り込んで紹介。
→ 閲覧 → 信頼 → 問い合わせ&来店 → 成果
◆クロスメディア戦略が重要!
複数のメディア(ブログ更新、GBP、口コミ、SNS、LINE、YouTube)を組み合わせることで、相乗効果が生まれます。
○ブログ更新はこれからも大事: AI検索のためにも、一つだけの運用ではダメ
○スタッフの成長にもつながる
○YouTubeはWeb上の資産になる
◆成功への3ステップ
1:何をやる、何をやらないを決める!
2:いつまでにやるかを決める!
3:誰とやるかを決める!
新年度フォーラム2026まとめ
JMG新年度フォーラム2026は、ジュエリー業界が直面する課題と機会を多角的に議論する場となりました。
第1部では、金・プラチナ高騰、円安、インバウンド需要の変化など、マクロ経済環境の変化に対応した戦略の必要性が示されました。特に国産ジュエリーの価値再発見と、60〜70代をターゲットとした販売戦略の重要性が強調されました。
第2部では、ラボグロウンダイヤモンドの台頭という新たな環境下で、天然ダイヤモンドの価値をいかに伝えるか。「30億年」「原石」というキーワードを軸に、トレーサビリティやライトパフォーマンスなど、エビデンスに基づいた販売手法の重要性が提示されました。
第3部では、YouTube活用による顧客獲得の実例が共有され、デジタルマーケティングの有効性が実証されました。特に、継続的な情報発信によるブランド構築、商圏の拡大、顧客との信頼関係構築において、YouTubeが強力なツールとなることが明らかになりました。
3つの異なる戦略(ストアブランド追求型、キャラ追求型、商品特化型)がそれぞれ成功していることは、各店舗が自社の強みを活かした独自の道を歩むことの重要性を示しています。
変化の激しい時代において、伝統的な価値(職人技、素材の良さ、対面接客)と新しいツール(YouTube、SNS、AI検索対応)を組み合わせることが、ジュエリー業界の生き残りと成長の鍵となることが、このフォーラムを通じて示されました。

フォーラム後、リアル参加者による懇親会にて
🌱 宝飾店の未来を拓く「新規客づくり」
今回特に注目されたのは、JMG各社が取り組んでいるYouTubeを中心とした複合的なネット戦略です(PR現代がサポート)。WEBとリアルを融合させた顧客創造の戦略は、今後の宝飾専門店にとって生命線ともいえる戦略が詰まっており、多くの参加者にとって大きな刺激と気づきをもたらしました。
【次回予告】JMG 冬の定例研究会
- 開催日:2026年4月8日(水)
- テーマ:「イーエックス浦和店見学会」
- 売場面積6.3坪 年商8000万円超のリ・モデル&買取専門店のお客様づくりの仕組みを学ぼう!
- 📎 詳細・お申込みはこちら
✨ JMGは「自信をもって未来をつくる」場です
(株)PR現代が主催する「JMG(ジュエラーズ・マインドグループ)」は花島路和氏(ジュエリーハナジマ代表)を会長に、52社(2026.2.1現在)が加盟する宝飾小売業のマーケティング実践研究会です。一商圏1社(市区村ごと)が加盟でき、隔月での定例勉強会や情報交流、個別相談、WEBや販促物などの会員割引制作などを行なっています。
JMGは、自信をもって未来をつくる情報コミュニティです。「もっと詳しく知りたい」「ぜひ一度参加してみたい」と感じた方は、お気軽に弊社までご相談ください。貴店に合わせた実践アドバイスと支援をご提案させていただきます。
詳しくは、JMGのホームページ をご覧のうえ、どうぞお気兼ねなくお問い合わせください。
JMGご紹介ショート動画 https://youtu.be/2clvsq43q7A
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