顧客との絆強化に着物手帳を活用しよう
リアルとデジタルの両方でコミュニケーションを
新型コロナウイルスの感染者数が緊急事態宣言のときのように増えてきました。
東京では毎日100名を超える方が新規感染しています。
以前のような自粛要請は出ていませんが、
この感染状況で、GOTOキャンペーンでのキャンセルも続出。
当初の目論見通りには行かないようです。
人と人との接触を避けなければならない今の状況は、
着物専門店をはじめ小売業において、非常に難しい環境といわざるをえません。
人間は、人との接点やつながり、ふれあいによって
喜びや幸せを感じる生き物です。
結果、顧客との接点は減少し関係が以前より希薄になってしまったお客様も多いのではないでしょうか。心理学の世界では、接触頻度が多いほど、その相手に好意を持つという傾向があることが実証済みです。単純接触効果または「ザイオンス効果」と呼ばれます。
お客様はお客様で、気軽に旅行やお出かけができない環境のため、着物の着用機会は減っています。一方で顧客のフラストレーションは増え、着用欲求や外出欲求、消費欲求は溜まっています。その証拠に緊急事態宣言明けの催事はのきなみ大賑わいでした。
いずれにせよ、コロナ禍は私たちのこれまでの生活そして価値観を大きく変えました。
卒業式が通常通り開催されず、袴のキャンセルを受け付けなければならなくなりました。
また、催事で効率的に集客し売り上げを確保するという着物専門店の柱とも言うべき方法が通用しない状況に陥りました。また、来年1月の成人式の開催についても、中止かオンライン開催か、など未だ予談を許さない状況です。
近い将来、コロナウイルスのワクチンも開発されることになると思うので、
この状況がずっと続くわけではないでしょうが、ここ1~2年は、リアルのみでの販売・営業活動は不自由さを伴うと思われます。
それゆえに、リアルとデジタルを上手に組み合わせたコミュニケーションのインフラを整備することが重要です。
デジタルの進化で、人と人とが直接顔を合わせなくてもコミュニケーションがストレスなくできる環境が整ってきました。
大事なのは、お客様一人ひとりとのコミュニケーション頻度や深さを維持・深化させることです。
希薄になりがちな関係をデジタルの力を使って確保しなければなりません。
もちろん、これまでの電話、手紙、情報誌といったアナログなやりとりも大切にしながら、LINE公式アカウントやメール、チャット、テレビ通話などのデジタルコミュニケーションを駆使し、お客様の状況に寄り添っていきたいところです。
着物熱を維持・強化する「着物手帳」
お客様の着物への興味・関心を高めていく工夫もかかせません。
ブログやLINE公式アカウント、YouTube、Instagramなどで
着物の楽しさを縦横無尽に伝えていきましょう。
最近活発になりはじめたオンライン着付け教室やオンライン茶道、オンラインスタイリングなどのサービスは、直接お会いできないお客様との距離を確実に縮めてくれます。
さて、PR現代が半世紀にわたって発行してきました「着物手帳」には
お客様の着物熱を維持・強化する力があることをご存知でしょうか。
手帳であるがゆえに、毎日目を通すことになります。
スマホに予定を入れる人が増えてきても、
紙の手帳を使わなくなった方は少数です。
着物手帳は全ページにわたり、着物に関する情報や和文化のエッセンスが記載されています。
前述のザイオンス効果が着物手帳でも発現します。
着物でお出かけができにくくても、着物手帳を開くたびに、着用意欲を高めてくれます。
また、着物手帳の表紙を工夫することで、お店から発信される情報へのアクセスを高めることもできます。着物手帳の表紙はカバーへの差し込み形式なので、自由に変えることができます。
裏表紙などにお店のLINE公式アカウントやYouTube、Instagram、ウェブサイトへのQRコードを設置すれば、いつでもこれらデジタルメディアへの誘導ができます。
ところで、2021年版の着物手帳の絵柄は、型絵染作家の岡本隆志氏の作品を起用しています。岡本隆志氏は、型絵染の創始者ともいえる人間国宝、芹沢銈介先生のお弟子さんです。
昨今の民藝ブーム、ステイホームによる断捨離ブームなど、異常気象に見舞われる現代の状況に対して、日本人としてモノや自然を大切にする生き方を見直す動きなどから人気が高まっている型絵染をセレクトしました。
人と人とのぬくもりを感じにくい今だからこそ、わずかなかすれやズレ、色と色の調和、美しく設けられた「間」など、手仕事の息づかいが聞こえてくる作品に、人々が魅了されるのもある意味うなずけます。
これから夏休みに入り、振袖商戦の山場のひとつを迎えます。秋に向けて催事の集客準備も始まります。リアルとデジタルの両方を効果的に組み合わせ、お客様一人ひとりとの絆を強化していきましょう。
(神山有史)