着物の伝統美の不思議

今日は夏の日差しのような暑さでした。
朝は比較的涼しかったのですが、
陽が高くなるにつれ、気温がぐんぐん上昇し、
スーツの上着を着ているとかなり汗だくになりました。
今日の京都は夏に戻ったかのような天気。

以前も産地に行ったり、
染織の工房を見学したりしたときにすごく思ったこと。

それは、染織のなんとも言えない芸術的な美しさは、
デジタルでできているということです。

図案は方眼紙に書かれていて、
紋紙には規則的な穴が空いています。
経糸と緯糸を色々なルールで
織り上げて作っているわけですから、
数学的な要素があって当たり前なんですよね。

着物や帯として、全体を見てしまうと、
そのようなデジタル感は全くないのですが、
生地に近づいて、
目の1つひとつをじっくり見てみると、
そのデジタル性を感じることができます。

今日も、京都の藤井絞りさんで、
本疋田の絞りの着物を見せてもらったのですが、
絞りが斜め45度にきれいに並んでいる様はやはり圧巻です。

あの絞りを1つひとつ手作業で
やるわけですから本当に気が遠くなります。

この着物一枚を作るのに、
一年半ほどかかるそうで
それを聞くと価格の高さに納得します。

今日参加した会合の懇親会で、
挨拶をされた社長さんは、
一点一点魂を込めて職人が作った商品は、
しっかりと仕入れ、
丁寧に売っていくべきだと力説していました。

お客様の希望で、
社長自ら八寸の名古屋帯を織ったそうなのですが、
何しろ織るのが大変で、
一本の帯、それも価格としては、
袋帯よりも安い名古屋帯でも、
織るのがいかに大変かを実感したそうです。

着物や帯は、簡単に値引きしてよいものじゃない、と。

それは作ってくれた職人の魂を
否定することになると感じたそうです。

価格を下げるのではなく、
職人の情熱や背景、価値伝えて、
商品が持つ魅力をお客様に伝える努力が必要だと。

売り方をあれこれ工夫するよりも、
その方がずっと大事だと話していらっしゃいました。

ところで、
花や草、木々など自然界の美しさにも、
数学的な規則性がありますよね。
フィボナッチ数列、ハニカム構造、フラクタル図形など。
一見、不規則に見える形なのに、
その本質はしっかりとした法則性に則っているというもの。
ひまわりの中心や植物の花や葉の形状、
雪の結晶など、人が美しいと感じるものには、
数学的な調和があり、それが芸術性を生み出しています。

考えてみれば、音楽も五線譜という
デジタル化することのできる構造が根本にあります。

国境を越えて人々を魅了する着物や帯の美しさは、
自然界の美しさの構造と同じなんだなあと
絞り染めをじっくり拝みなら思いました。

ややもするとデジタルに対して冷たさや
感情のない機械的なイメージを
持ってしまいがちですが、
人が美しいと感じるものを突き詰めていくと
デジタル性が出てくるというのは
面白いですね。

そんな魅力を持つ染織文化、
そしてそれを伝える呉服屋さん。
令和時代だからこそ
すべきことがまだまだありそうです。

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