時代に適合したリアルとウェブによる
お客さまづくりに取り組もう!
宝飾・時計・メガネ、きもの、寝具に特化したマーケティング・企画広告会社「㈱PR現代」(東京・日本橋、下島 仁 社長)は、主宰する宝飾小売業経営者が集うマーケティング研究会「JMG(ジュエラーズ・マインド・ジャパン)」春の定例研究会を4月20日(水)開催しました。
第1部のお客さまづくり研究部会と、第2部本会の二部構成で開催された内容をダイジェストレポートでご紹介いたします。(取材・文:嵯峨紀子)
第1部・お客さまづくり研究部会
「新規客づくり・ウェブ編」
お客さまづくり研究部会の第1回目として「新規客づくり・ウェブ編」を展開。専門店におけるウェブ施策として重要な柱となっている、グーグルビジネスプロフィールと見込み客発見型ホームページの運用ノウハウを解説しました。
アナログとデジタルによるお客さまづくりは次の3つで構成され、その連続性を考えかえればなりません。
1:新規客づくり
2:リピーターづくり
3:ファン客づくり
今回は、この中の特に新規客づくりのために役立つウェブ戦略を詳説。まずGBP(グーグルビジネスプロフィール)の検索上位に表示される方法、次に自社HPを見込み客発見型HPにするためのチェック項目を解説しました。ウェブを上手に活用して来店を促し、来店したお客さまを自店流のアナログ手法でファン客にする、ウェブとリアルの合わせ技が重要と結論づけています。
第2部・本会
花島会長:価格見直しと買取増加について
本会では冒頭、JMG会長の花島路和氏から、ウクライナ情勢を受けて高騰を続ける金価格や円安、ダイヤの値上がりなどによる小売店の価格見直しのタイミングについて注意喚起がなされました。大口の買取依頼の増加にも触れ、買取と同時に購入を勧めるなど、顧客との関係性を深める工夫が必要とし、GWに向けて「響く」販促活動をと呼びかけました。
深澤裕氏:ダイヤモンドと貴金属の流通状況について
JMG顧問であり(一社)日本宝飾品貿易協会 代表理事の深澤裕氏は、ロシアの経済制裁によるダイヤモンドと貴金属の流通状況を報告。世界最大のダイヤモンド採掘会社アルロサに対する制裁で一時急騰したが、現在は落ち着いていること、ロシア貴金属・宝石備蓄機関ゴクランへの圧力から、特にパラジウムに影響が出そうだと警告しました。
パールや人件費の値上がりにも言及し、甲府での工賃が約2倍に上昇していること、大手メーカーによる甲府での買い占めの動き、円安で輸入品も2割増しとなっていることから、夏以降の仕入れには注意が必要と呼びかけました。一方、ライブ販売やネットショップの荷物が税関でストップしていることを伝え、ネットショップが安価で販売できなくなるとの見込みから、リアル店舗を持つ小売店にとっては高額品を売るチャンス到来と分析しました。大ヒットした金魚パールのように、従来売りにくいとされていたものにスポットを当てるなど、小売店がメーカーとともに開発に関わることがヒット商品を生み出す糸口であることを示唆しました。
PR現代 下島&新田真之介弁護士:パワハラ防止法への適応策について
弊社代表の下島とJMG顧問の新田真之介弁護士は、パワハラ防止法への対応方法について解説。直近での吉野家の例からもわかるとおり、巻き込まれないことが先決であるとし、企業防衛の観点からも早急な対策が必要と述べました。
社内では相談しにくいとネットに書き込まれる恐れがあることから、社外相談室の必要性を説き、PR現代に設置した「JMGコンプライアンス相談室」の積極活用を勧めました。また、顧客からのカスタマーハラスメントについては、対応する方法があると示す姿勢が社員を安心させるとし、ハラスメント予防策の重要性を説きました。
ニイミ時計店 新美利治氏:コロナ禍で社員と誓った約束と『7つの実践』
会員発表として、株式会社ニイミ時計店 代表取締役社長の新美利治氏が『コロナ禍で社員と誓った約束と、業績向上につながった『7つの実践』とは?』と題した講演を行い、社員とともにコロナ禍を乗り越えた具体策について参加者に語りました。
人件費が大きくなることが予想されるなか、雇用を守ると宣言。社員に全てを開示して危機感の共有を訴えたことで、想定以上の利益率や利益額を確保することができた経緯、実践談をご紹介いただきました。
<コロナ禍に立ち向かった7つの実践>
1:在庫商品の提案
2:提案商品の販売強化
3:ホームページ、ブログ、SNSなどのウェブ強化
4:顧客宅への訪問頻度を上げる、サンキューレターを出す
5:粗利率を上げるための営業努力
6:掛け売りをしない、回収を早くする
7:リフォーム・修理の強化
7つの実践の一つ一つは、定石といえるようでも大切なことばかりで、会社存続の危機を迎えて初めてできたのだといいます。当たり前のことを当たり前に成し遂げることの難しさと大切さに、多くの参加者が心を動かされました。
参加者の感想と質疑応答
参加者からの質疑応答では、参加各店から感想とともに、より詳細な話が聞きたいとの声が多数に及びました。
・お客さま宅へ伺うことができる人材がいることがすばらしい。
・新美社長の圧倒的な人柄に加え、社員一人一人とのコミュニケーションや科学的分析が成功要因。
・7つの実践に挙げられた事柄は常に考えているが、クリアするのが難しい。
・One to Oneマーケットを掘り下げたい。
・優しさと厳しさのバランスが難しいと感じている。
・会話のキャッチボールを日々実践して、ヒアリング力を上げると数字が伸びる。
・原価が読めるようにしたり、労働生産性を上げるためにはどうすべきかという話を社員にしている。
次回JMG夏の定例研究会は6月15日(水)、ゲスト講演に(株)デジタルジュエリー 佐藤善久代表を迎え『小売業から製造小売業へ。持続可能性の高い事業転換について』をテーマに開催します。ぜひご予定ください。
ジュエリー小売業のためのマーケティング実践研究会「JMG」の詳細は、こちらからご覧いただけます。