テーマ:「ウィズコロナ時代に適応した宝飾専門店に顧客と利益の創造を!」
NEXT SHOP 2021
(株)PR現代は2月3日(水)、宝飾小売業を対象に「JMG新年度オンラインフォーラム」ウィズコロナ時代に適応した宝飾専門店に顧客と利益の創造を!をテーマにZoomによるオンラインで開催。多くの方にご参加いただきました。ここでそのダイジェストレポートを紹介いたします。(文・嵯峨紀子)
新年度フォーラム開催のごあいさつ
JMG会長 花島路和
はじめに、JMG会長の(有)花路「ジュエリーハナジマ」代表取締役の花島路和氏からのご挨拶でフォーラムはスタートしました。先ごろ行われた「IJT(国際宝飾展)」での一般ユーザーの混在問題にふれ、夢のある、皆が幸せになれるようなIJTのあり方はどうあるべきなのかよく考えるべき時ではないかとの話がありました。また大幅割引で購入可能というような表現はかえって消費者への価格不振、業界のイメージダウンにつながるのではとの懸念が示され、主催者であるリードジャパン、日本ジュエリー協会へ提案する必要性が語られました。モーターショーなどに見られるような華やかで夢のある展示会、そして業界となっていけるよう会員協力の呼びかけがありました。
小売業が直面する対面営業閉塞状態を打開するために
PR現代 代表(JMG主宰) 下島仁
次に、PR現代 代表の下島仁がテーマ解説として、コロナ関連状況がもたらしたパラダイムシフトとオンラインビジネスへの積極参加の重要性について語りました。依然として不透明なコロナ収束の見込みは、ウイズコロナ時代への順応を余儀なくするとし、オンライン需要が加速すると予測。対面営業の閉塞でアパレルショップなどが苦境に立たされているのに対し、JMG会員の宝飾専門店は現状、大健闘しているとしました。その要因は、ファン客との絆を大事にしている点(顧客密着商法)、不況下でも高いニーズ性(記念日応援ビジネス)、過去の経験値を生かしたリーダーシップ(経営者の判断力)にあったと分析。しかしコロナ長期化によりこれからが大変だとし、各店のお客さまづくりの時流に即したバージョンアップの必要性を訴えました。
今後の宝飾小売業の事業経営に不可欠なのは、デジタルとアナログをバランス良く駆使したネクストショップの創造だと解説。JMGが提供する7つのスクラムとJMGの顧問やブレーンネットワークを活用し、事業の永続性に役立ててほしいと述べました。
ゲスト講師による活動紹介と宝飾専門店へのエール
「リの分野はこれからますます発展する分野」
(一社)日本リ・ジュエリー協議会 山田悟会長
ジュエリーの二次市場の促進を目標に発足し11年目に入った(一社)リ・ジュエリー協議会。コロナの影響で、リモデルカウンセラーの育成や試験の実施はオンラインに移行。これは東京に来なくても全国どこでも試験が受けられるというメリットももたらしました。リモデルによる有限の資源を活用するビジネスは、SDGs(持続可能な開発目標)の理念にも合致し、これからの宝飾業界にとってなくてはならない市場を形成すると述べ、JMGとの密接な協力関係の構築とノウハウの共有を確認しました。なお(株)エクミスとしては「もったいない会」「アンケート企画」が各店で好調。直営店においては今年に入ってからウェブ経由の買上げも増えてきました。
「新たなことへ果敢にチャレンジを!」
(一社)日本宝飾品貿易協会 深澤 裕 代表理事
JMG顧問であり、『ジャパンプレシャス』編集長も務める深澤氏からは1月のIJTの会場での様子、とくに海外のバイヤーたちによるライブチャット販売やネット検索による価格設定の難しさについてお話しいただきました。ライブチャット販売にもTVショッピングの役割が担われる効果が出てくるなど、否定的ムードから肯定的ムードに変わりつつあるあること、トライアンドエラーでチャンスをつかむことができるオークションレンタルシステムの登場などを紹介。コロナ禍でも宝飾市場は2割ほどの落ち込みに抑えられ、日本の専門店の強みを実感。消費者がジュエリーに求める価値は変わらないことを証明したとし、今しばらくは耐え忍んででも、新しいことへのチャレンジを敢行してほしいとエールが送られました。
「日本初の女性ジュエラーのネットワーク」
WJJ(ウーマンジュエラーズジャパン) 渡辺 郁子会長
2019年に発足したWJJの渡辺氏からは「宝飾業界に女性ならではの視点を取り入れてほしい」という願いから始まったWJJの発足主旨と活動内容が紹介されました。これまで行ったラボグロウンダイヤモンドや知的財産権についての各種セミナー、また今後実施予定の輸出入についての知識習得、カラーストーンのセールストークセミナーなどについてお話しいただきました。自らが代表を務めるインクインコーポレーションでのオンラインショップの展望では、海外進出を進めるにあたり出店者を募集。日本の良質な作りのジュエリーを販売していきたいと語られました。WJJの主な活動/ジュエリーの正しい理解を促し、普及拡大のためのセミナー、イベント、勉強会の企画・実施。ジュエリーを糧とする女性の支援活動及び、社会貢献。
「時代にマッチした新たなビジネスモデル」
デジタルジュエリー®︎協会 斎藤茂樹会長
デザインと人をつないでフラットな関係を構築することを掲げるデジタルジュエリー®︎協会。デジタルジュエリー®︎は各県1社をルールに現在29社にまで普及。独自性のあるオリジナルジュエリーとブライダル、リモデルを柱に宝飾小売店の新たなビジネスモデルの創出に貢献しています。昨年からは非対面販売の促進、リモートでの販売と市場が一気に変化しましたが、デジタルジュエリー®︎導入店にとってはさらなる追い風となりました。単に3D CADや3Dプリンターを使えるという技術面だけでなく、製作工場とのやりとりや販売ノウハウまでサポートしてもらえるのが強み。その場で仕上がりがイメージできることと、お客さまの思いを200%実現することができるデジタルジュエリー®︎を味方につけて、事業の発展をともに築きましょうと呼びかけました。
「貴金属分析精錬の有用性について」
アサヒプリテック株式会社 織田秀勝氏
小売店が買い取り・下取りした貴金属を分析精錬して、より有利な評価を引き出すアサヒプリテック。SDGsにも積極的に取り組み、5つの認証を取得しています。今後重要な認証となるRJCにも加盟し、小売店にとって安全で高付加価値な精錬を依頼できる企業です。多種多様な貴金属を分析精錬することで0.1g単位の抽出が可能となり、パラジウムの含有率を正確に評価することでより高額の還元を実現。さらにルースの返却もされることでリフォームなどに活用することもできるとしています。
「ダイヤ販売の現在そして未来」
MID JAPAN ヤロン・チェルビン社長
ダイヤモンドビジネスの拡大を訴えるMID社からのエールは「みんな一緒にもっと強くなろう」。大きな改革を促した2020年の状況変化と、今後値上がり基調となるダイヤの価格についての見通しを語り、2021年のトレンドを予測しました。これまで現物がなければ商売ができなかったダイヤモンドビジネスですが、これからはサプライヤーと直接交渉できるLINEや検索サイトなど、MID独自ののシステムを紹介し、ダイヤモンドビジネスの活性化に貢献したいと述べました。MID社によるダイヤモンド検索サイトやLINE公式アカウントの登録方法はこちらから。
「全国各エリアからメンバー店からの2021年の抱負」
聞き手 PR現代 ジュエリー事業部 取締役 三澤慎太郎
「(株)プロポーズ」(北海道)小原慎也社長
若いスタッフを中心にウェブ委員会をつくり、ブログ更新やインスタライブなどを敢行、ボトムアップで意見を出し合い取りまとめたところ、2年前に比べアクセス数そしてウェブ経由の来客も急増しました。展示会もタイミングよく開催することができ、2021年のチャレンジ目標も据えることができました。
「(株)ベルティーサイトウ」(東北・山形県) 斎藤繁喜社長
ブライダルは6月から盛り返し順調に推移、社員がSNSで情報発信するようになったことで目に見えて成果が上がってきました。ウェブからの来店が倍近くにアップし、ワンチームとして動けるようになってきました。今年は創業75周年なのでリブランディングを構想中。またLINE、GMB、オンライン通販の3種の神器を効果的に活用しコロナ禍を乗り切っていきたいと思います。
「(株)ハナジマ」(関東・東京都) 花島素人社長 花島素人社長・花島賛氏
2020年は社員教育やオンライン予約機能の強化などに注力。4K画像でお客さまに商品を見てもらえるようにし、WEB経由でカラーストーンを求めて来られるお客さまも増えてきました。9月に開催したコレクションは盛況。2021年はECサイトとウェブ接客を組み合わせていこうと考えています。昔から戦争や天災は常にあるものとして冷静に対応するよう努め、またコロナ収束となればチャンスを逃さないように一気呵成な営業を行うなど、時流をキャッチし最適な判断をスピード感をもってとりくんでいきたいと思います。
「(株)オプトナカムラ」(中部甲信越・山梨県) 渡辺良幸部長
昨年はごく一部の催事をのぞき、ほぼ開催でき成果を上げることができました。また、GMB(グーグルマイビジネス)の整備をしたところ、特に修理の問い合わせが急増しました。当社もウェブ委員会を立ち上げたので、今後はLINE公式など集客に役立てたいのと、ウェブからブライダルやリフォームのお客さまをつくりたいと考えています。
「(株)フルミヤ」(関西・大阪府)小泉愛子専務
2020年はコロナによる休業中にウェブに力を入れ、本部一括で受けていた問い合わせを各店に変え取り組んだところ、LINEからの問い合わせが3〜4倍に増えました。ウェブ委員会を昨秋から立ち上げたのでHPを含めリニューアルを考えていきたいです。ウェブも大事ですがアナログも大切にしていきたいので、メンテナンスハガキを実施したところ、そちらも反響が大きかったです。これからウェブ委員会をスタートしていきます。
「(株)カリス・クリエイト」(九州四国・福岡県) 山口研二社長
創業9年になる福岡県久留米市の宝飾店です。デジタルジュエリー®︎を取得し、オーダー、リフォームを半年で200件以上と激増しています。リフォーム、オーダー、ブライダルを完全にデジタルシフトし、目の前でデザインすることで安心を与え、感動を生むオンリーワンのジュエリーショップを目指しています。デジタルジュエリー®︎協会からショップオブザイヤーを受賞しました。(三澤代弁)
まとめ(PR現代 三澤慎太郎)
各エリアを代表してご登場いただいた各メンバー店さんは、弊社と二人三脚であらたなお客さまづくりに果敢に挑戦しているお店です。ジュエリーファンをいかに作っていくか、顧客との関係性をいかに構築していくかを考えたとき、経営判断として今はウェブに投資していくのが賢明と考えます。また今後は社員一人一人の持つ知恵とノウハウを会社として共有し、大切に活かす人づくりが更なる発展のために必要なカギとなってきます。ウェブとリアルを融合したマーケティング「ウェボリューション®︎」で、ウィズコロナに適応したネクストショップづくりに挑戦しましょう。
PR現代 研究会・セミナー今後の予定
◆3月24日(水)「WEBマーケティングセミナー」(オンライン)
◆4月8日(木)JMG「春の定例研究会」(オンライン&リアル)
◆6月9日(水)JMG「夏の定例研究会」(オンライン&リアル)