神山有史
今日も東京の856人を筆頭に各地で多くの感染者が出ました。
新幹線の乗車率は、GoToキャンペーンを実施していた時期と比較して
明らかに少なくなりました。
この感染拡大に伴って各地で成人式中止、延期が発表されています。
この先も、成人式が予定されている1月10日までの間に
まだまだ中止を発表する地域が出てきそうです。
こうした市町村の動きに反応したのか、
お店に厳しいクレームを入れるお母さんや
どのようにしたらいいのかの判断を仰ぐお父さんが出てきました。
例えば、市町村が成人式を中止したのに、
着付けやヘアメイクの対応を継続するとは何事か!?
お店独自に集いの場を設置するとはどういう了見か?
など……。
一方で、成人式が中止になっても
変わらず1月10日に振袖を着たいが対応はしてくれるのか?
という質問や相談も多く入ってきています。
成人式に振袖を着るかどうかということだけをとっても
このコロナ禍に対する考え方は、人によって大きく異なるんだ
ということを痛感します。
同じ二十歳のお嬢さんの親であっても
意見は全くの対極です。
だからこそ、
お店は難しい判断を迫られることになります。
着付けやヘアメイクを自粛すべきか?
やりたいという方のために対応をしっかりと行うべきか?
先日も、とある社長から、
他のお店はどのような対応をしているか?
というご相談がありました。
私が日頃お世話になっているお店のほとんどは、
成人式が中止になっても、
原則として着付け・ヘアメイクのお支度をお世話する
というスタンスを貫いています。
それもそのはず、実際に当日振袖を着たいというお嬢様のほうが
圧倒的に多いからです。
恐れていたレンタル振袖のキャンセルは、
想像していた数よりも少なく、
契約数の5%ほどでした。
それでも損害は決して少なくありませんが、
お支度を変わらずに行うことが
お客様のお気持ちに沿うなら、喜んで対応する
というのが人情というものです。
確かに、成人式を開催すれば、
式典後に、飲み会や同窓会を行い
盛り上がる人たちが出るという心配を
市の担当者がするのも理解できます。
人が集まり、移動することで感染リスクが高まる
のは当たり前のことです。
しかし、一方で、国は人の移動による
感染拡大のエビデンスはない
と言い続けています。
とある地区では、成人式前後に予定されている
コンサートやイベントは予定通り開催し、
成人式だけを中止にしました。
感染拡大を本気で防ぎたいのか
それとも権力による力学なのか
国からして、行動に一貫性がありません。
小売りの現場に行けば、
成人式当日の対応に向けて
病的なまでの感染防止対策を用意し
準備を進めています。
ただでさえ当日に向けての準備は
まさに戦場なのに、
今年はそれに加えて二部制、三部制などの
実施方法の変更があり、
感染防止対策を徹底する必要があります。
そこへ加えての中止や延期。
現場もお客様も混乱したり
疲弊が激しくなるのも当然です。
感染防止対策の徹底や
お客様への当日の行動の制限などを
店側からもしっかりと打診した上で、
誠実にお客様のお支度を進めていくことが
求められています。
あと2日で今年も終わりますが、
終息の目処が一向に見えてこないコロナ禍の中で、
2021年は、コロナと共生しつつ、
新たな呉服業のあり方を
真剣に模索する年にしなければなりません。