東京をはじめとした感染数の多い地域の緊急事態宣言が6月20日まで延長されることになりましたが、小売りの現場は本当に大変です。
現場の催事来場の状況を伺うと、やはり2割、3割減というのが当たり前になっているようです。それは、三密を避けるために外出しないという人が一定数いらっしゃるためです。
こういう状況が続くと、今催事を支えてくれるお客様はより一層顔ぶれが同じになってしまい先行きが非常に不透明になります。
それゆえ、経営者が新規客づくりに今まで以上に注力するようになってきました。
振袖成約客のリピーター化、お手入れ新規からのリピーター化、小物新規からのリピーター化などです。これらは昔から言われてきた有力見込客を顧客化するための動きですが、実際のところ、なかなか上手く顧客化できていません。
お客様フォローは、スタッフ一人ひとりの行動に委ねられており、数字最優先で行動しなければならないスタッフとすれば、催事確約、振袖アプローチなど、先に手をつけるのはいつも数字を上げるための動きです。
結果として、お客様フォローが不徹底でも、数字さえ上がっていれば良いという暗黙のルールが蔓延しています。しかし、時代は変わり、コロナ禍によってこれまで通りのお客様フォローができなきくなってしまった今、新たな仕組みづくりが必要です。お客様フォローを理想通りに進めていく鍵は、スタッフの評価制度の見直しとデジタル活用にあります。
スタッフが業務を遂行しやすい環境かどうか?
新規客を作ることへの評価は催事確約の達成と同等、いやそれ以上の価値があると思いますが、それがどの程度評価に反映されるでしょうか。まず、現状の評価制度がどのようになっており、スタッフが新規客を作りやすい環境かどうかを確認し、その見直しを図ること。
そして、次にデジタル活用によるお客様づくりのシナリオを見える化し、経験の少ないスタッフでも迷うことなく行動できるようにする環境を整備することです。
例えば、振袖成約のお客様(お母様)へのフォローやコミュニケーション内容はお店ごとに決まっていると思いますが、そのコミュニケーションはどの程度徹底されているでしょうか。また、コミュニケーションの実行をチェックする機能はどの程度働いているでしょうか。
私たちは日頃、現場の方々とブログ更新の運用をお手伝いしていますが、ブログ更新ひとつとってみても、スプレッドシートの計画表を作り、作成した原稿をチェックし、そして公開するという流れを丁寧に行って初めて更新が滞りなく進むという現実と向き合っています。
このブログ更新活動だけでも、現場の方々の負担は大きく、しかも徹底できれば成果が出ますが、徹底しきれないと成果が出にくいという難しさがあります。
さて、お客様フォローという直接的には売上の上がらない行動となると、スタッフ一人ひとりの自主性に任せて進めている現場が多いのではないでしょうか。
業務の効率化、見える化のためのデジタル活用
スタッフへの指示、スケジュール管理、行動のチェックといったことを一人ひとり別に精密に行うことは、現在の経営者の時間的制約の中では、現実的に不可能に思えます。
だからこそ、この行動管理をデジタル化し、ある程度自動化することが必要です。
デジタル活用という言葉からは、ウェブ集客というイメージを連想しますが、ここでいうデジタル活用は、集客ということではなく、業務効率や行動改善といった社内的な意味でのデジタル活用です。
最近テレビCMでもおなじみの経費精算のデジタル化などと同じ流れです。
他の業界と同じく、きもの小売業もいよいよ本格的なデジタル化を図る時期になったと思います。これまで業務の流れやルールがあいまいなままになっていた、はっきりしていなかったことをデジタル化し、行動とチェック、管理を徹底することで目に見える成果を出すことができるようになると思います。
また、デジタル化のメリットとして、実際の行動プロセスを把握できるので、結果は出ていなくとも、誠実に努力している人を評価することもできます。
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