コモンウェルスグループ
テンダーダイヤモンドジャパン株式会社
代表取締役 中村 慶幸 氏
今なぜピンクダイヤモンドなのか
──産地証明付きのアーガイル産ピンクダイヤを販売するテンダーダイヤモンドジャパンの中村氏に聞く
9月13日に銀座で開催された発表会を成功させた「テンダーダイヤモンド」を日本で展開するコモンウェルスグループ代表の中村慶幸(なかむら よしゆき)代表に、ダイヤモンドの国際情勢や合成ダイヤモンドの動き、そしてアーガイル産ピンクダイヤの新ブランド「ピンク キンバリー ダイヤモンド」について伺いました。ここではインタビューのごく一部を紹介します。
(聞き手:下島仁 取材・文:嵯峨紀子)
ダイヤモンド産業に携わって30年
中村氏のキャリアのスタートはデ・ビアス社。10年余りマーケティングを担当したのち、エスカーダ・ジャパンの社長を経て株式会社コモンウェルスを設立、30年にわたってダイヤモンドの動向を見つめてきました。現在は「ピエロ・ミラノ」、「フルーチ・ベルーニ」、「マジックワイヤー」、そして「テンダーダイヤモンドジャパン」の4ブランドを展開しています(各ブランドについては本文の後半に掲載)。
ダイヤモンド相場の下落について
現在、価格が下落している天然ダイヤモンドですが、一年のうちに17%もの下落はこれまでなかったことです。中国市場の減退やアメリカでのラボグロウンダイヤの伸びなど、いくつかの要因が絡み合って起きていると考えられます。予想ではいずれ落ち着くとされていますが、断言はできない状況です。
デ・ビアスが始めたラボグロウンダイヤのブランド「Lightbox」はアメリカではすでにダイヤモンド購入の4割弱のシェアとなっています。中国からもラボグロウンが入ってきており、1ct,Fカラー,VVSクラスの合成ダイヤが4万円程度の卸価格となっているなど価格競争もたいへん激しくなっています。日本人女性は本物志向が強く、ラボグロウンを静観している状況ですが、アメリカではカラット数の大きなものが好まれるため、ラボグロウンの市場はさらに拡大しています。
ピンクダイヤモンド市場の動向とテンダーダイヤモンド立ち上げの経緯
中村氏がテンダーダイヤモンドジャパンを設立したのは、鈍くなった白ダイヤの動きとラボグロウンの台頭のあるなか、「あくまで私自身は天然ダイヤモンドに魅せられ育てられた人間であり、やはり天然ダイヤに愛着があり拘りたかった」ためだといいます。
ピンクダイヤモンドの全採掘量の90%を占めていたアーガイル鉱山は閉山しましたが、ピュアなピンクに魅せられ、数年前、スケールの4〜7にあたるチェリーピンクのルースを買い付けていたところ、オーストラリアのピンクキンバリーダイヤモンドからの要請で、ルースからジュエリーまでを扱う日本での正規代理店「テンダーダイヤモンドジャパン」を務めることとなりました。
「ピンク キンバリー ダイヤモンド」は西から拡大開始
テンダーダイヤモンドの商品は今年の年末までに、全国で15店舗が取り扱いを決めているそうです。取り扱いを決めた店舗の所在地の分布を見ると西高東低の傾向があるといいます。10月20日に大阪で一般個客向けのデビュー発表をしたところたいへん好評だったそう。取り扱い百貨店では今後様々な限定企画も予定されており、好調に推移しているとのことです。
5本のみ確保したアワーグラスは即完売
なお、9月に銀座で開催された発表会では総額8億円のピンクダイヤモンドを持ち込み、盛況裡に終えたとのこと。世界10個限定で、5個のみ国内で確保できたという希少なトータル3ctのピンクダイヤモンドを使用したアワーグラス(砂時計)は、700万円という価格にもかかわらずすでに完売したとのことです。
市場動向などについてのQ&A
下島:ピンクダイヤ購買層の特徴は? ファッション性重視か? 資産性重視か?
中村:男性は投資目的が中心です。女性はファッションとして楽しむため。希少性に惹かれているところが大きいです。ピンクダイヤモンドの所有率はまだまだ低いため、持っていないものに購買意欲が刺激されるようです。「ピンク キンバリー ダイヤモンド」は20万円から2億円までと選択肢も豊富です。
下島:ピンクのカラーグレードによって売れ行きに違いはあるのか。
中村:現在、カラーグレードの良いものは0.1ctで1,000万円ほどの値段がついています。スケールの6〜7あたりが買いやすい価格帯となっています。
下島:「ピンク キンバリー ダイヤモンド」の差別化ポイントは?
中村:ブランドしてトータルなCIやVIがすべて揃っており、ルースだけでなくジュエリーラインも充実しています。そしてギャランティーカードがついており、何よりアーガイル産のピンクダイヤモンドであるという「原産地証明書」が付いているという点も大きな差別化ポイントです。アーガイル産の原産地証明がなされていて、トリートメントなしというのは大きな安心感があると思います。ジュエリーは18金またはプラチナ製でデザインはコンサバ的です。幅広い年代に長く愛用していただける商品となっています。
下島:日本の宝飾店に対してのメッセージをお願いします。
中村:国内宝飾市場規模1兆円を超えたと言ってもインバウンド頼みだったので、ここからがターニングポイントです。自分たちのポリシーを確立し、チャレンジし続けなければならない。当然リスクもあるがリターンも得られる。そのような状況に変わっていくだろうと思います。ますます自社自体のブランディングやコンセプトの明確化、マーケティングが大切になってくるのではないでしょうか。
コモンウェルスグループが展開する4つのブランド
・ピエロ・ミラノ Piero Milan
1953年ヴァレンツァで創業したイタリアのハイジュエリーブランド。ミラノの中心地にショールームを構え、クラシックなデザインからモードの息吹を感じ取れるジュエリーまで、多様なジュエリーを制作しています。
・フルーチ・ベルーニ Hulchi Belluni
伸びるバングルとして国際的にファンを持つフルーチ・ベルーニは、2001年にベルギーで誕生しました。多様性のあるデザインと革新的な技術に基づく素晴らしい仕上げによって世界的に高い評価を得ています。
・マジックワイヤー Magic Wire
しなやかで、柔軟性のある実現不可能な形を作り出すことができるイタリア発のジュエリーブランド。チタンに金線を巻着付ける金属加工と形状記憶合金の研究から生まれた革新的なジュエリーです。
・テンダーダイヤモンドジャパン TENDER DIAMOND JAPAN
アーガイル ピンクダイヤモンドを扱うPink Kimberly Diamondsの日本正規代理店。0.08カラットを超えるアーガイル ピンクダイヤモンドには専用の鑑定書及び、真正性証明書が添付されます。
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一般公開ではご紹介できない内容を含む本インタビューの収録動画は、PR現代が主宰するジュエリー小売業のマーケティング研究会「JMG(ジュエラーズ・マインドグループ)」メンバー限定でご覧いただけます。現在編集作業を進めており、12月初旬には限定公開予定です。楽しみにお待ちください。