宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022 レポート

宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022

「JJF2022」(東京ビックサイト・8/31-9/2)の初日に開催された宝飾店パネルディスカッションでは、JMGメンバーの(株)ハナジマとJMGのよきサポーターでもあるshihoさんが登場。当日の様子をダイジェストでお届けします。

テーマ:「宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022」

パネリスト:株式会社ハナジマ 代表取締役 花島 素人 氏
      ジュエリーサロンshiho代表 shiho氏(パーソナルジュエラー協会代表)

モデレーター:株式会社PR現代 代表取締役社長 下島 仁

コロナによる影響が落ち着きを見せてきた昨今、
小売業は次なる戦略を仕込んでおく時期に入っています。

コロナを経てお客様の購買動向はどう変化したのか、
またそれに適応するために、自社のブランディングやお客さまづくりをどのように進めたのかなど、
これからの宝飾店マーケティングのヒントを、タイプの全く異なる両パネラーの取り組みを伺いました。
(取材・文:嵯峨紀子)

パネラーによる自己紹介
花島素人(以下、花島) よく地方の小売店さんから、東京だからたくさんの来店客があるのだろうと羨ましがられるのですが、うちの店の立地は決して良くはないのです。東京都東端の江戸川区にあり、東京駅や銀座からは車で15分ですが、最寄り駅からだとバスで10分ほどかかる古びた商店街に位置する、極めて古典的な宝石店です。お客さまに「わ!すてき」と思っていただけることを目標に商品を揃え、店舗デザインやレイアウトも自分で手掛けています。母が始めたカヨコジュエリーというハウスブランドの展開など、ファミリービジネスを基本理念に据えています。

shiho 店舗を持たない訪問型ジュエリー販売のビジネスモデルを展開しています。誰もが素敵になれるジュエリーコーディネートを提案する、パーソナルジュエラーとして活動しています。また、パーソナルジュエラーを養成するパーソナルジュエリー協会の代表を務めています。

宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022

下島 宝飾店は特徴別に大きく5つのタイプに分けることができます。
①フルスペック型「本格宝飾専門店」
②オーダー・リフォーム・修理「プロショップ」
③複合サービス提供型「美・ステーション」
④オーダー&セレクト型「ブライダルジュエリー店」
⑤SNSを駆使した「One to Oneショップ」
ハナジマさんは①のフルスペック型、shihoさんは③と⑤の特徴を兼ね備えた複合タイプといえます。

宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022

1:お客さまの価値観の変化について

下島 現在の主な消費行動として、ネットによる受動選択、価値・意味のあるものや価格で選ぶ選択消費、ミネラルショーやECサイト、ライブ販売など販売チャネルの変容が挙げられます。お二方はどのような対策を考えていますか?

shiho コロナ禍で価値観の変化は加速したと感じています。お客さまの潜在ニーズに気づくことでファン客を増やすことができると考え、顧客のファン化を図っています。現代は100万円の現金よりも100万人のフォロワーの方が価値があるといわれています。価値観が多様化したことで「人と同じはイヤ」と感じる人が増え、オリジナリティーを求めるとともに、身につけているものが似合うかどうかの青写真が求められるようになっています。共感を大切にする女性目線も重要なポイントです。

花島 コロナ禍では、一番のメインターゲットである年配者の行動が制限され、購買意欲が動かせない状況が続きました。おかげで今、日本の家庭には50兆円のお金が眠っているといわれます。この消費を業界としてどれだけ掴めるかがカギとなります。
現在宝飾業界で売れているところはカルティエやルイヴィトンなどのメガブランドだけで、百貨店でも平場は活気がなく、売れていません。ブランドの付加価値が求められ、ロレックスやピンクダイヤモンドなどが投機としては動いていますが、商品としてはまだ動いているとは言い難い状況です。お客さまの中には「ラグジュアリー・体験・買い物の楽しさ」などのいい体験をしたい気持ちはあるものの、業界として提供できていないのではないでしょうか。
世の中がデフレからインフレに変わり、コロナを通過して二極化が進んでいます。日々の生活に一生懸命な人や物価の上昇に敏感な人と、自分の人生の先を見ながらどう生きていくかを考える余裕のある人に二分されています。宝飾業界としては後者のゆとりのある層にターゲットを絞るべきだと考えます。

下島 絆やつながりなど、いわゆるセンチメンタルバリューが、これまで以上に求められているということですね。

宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022
宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022

2:アフターコロナ(ウィズコロナ)時代の自店のマーケティング戦略は?

下島 コロナの時代を経て、本当の意味でのwithコロナの時代が始まりました。自店のマーケティング戦略の具体策を教えてください。

花島 コロナ以前から手掛けていることですが、寂れた地元商店街の再開発を行政とともに進めています。商店街が活性化すれば税率も上がりますから。
ここ最近の具体策としては以下のようなことをおこなっています。
・事務所兼スタジオの設置
SNSに発信するためのコンテンツ制作のため、スタジオを作りました。うちのような地元密着型であっても、新規客の8割はWeb経由です。逆にいえば買う気のないお客さまは来ないということ。これまでの顧客は大切にしつつ、Webから来られる新規客のための投資です。
・年2回の新作発表展示会
新作発表会は50年ほど続けています。普段お店に来られないお客さまにも買い物の楽しみを提供すべく、チームプレイで臨んでいる行事です。
・招待旅行とパーティー
年に1〜2回実施しますが、毎回テーマを決めて先遣隊が下見をしてプランを作成しています。パーティーではスタッフが着用したジュエリーが話題になり、よく売れます。
・オンライン接客とECサイト
4Kの高画質で商品をお見せしながらオンライン接客をおこなっています。接客のノウハウを次世代に引き継ぎながら、Web構築の強化を図っています。

shiho ファン客づくりをするために、お客さまの声から始めたことが3つあります。
1.パーソナルジュエリー診断の開発と販売イベント
パーソナルジュエリー診断というのはいわば、似合うジュエリーのものさし作り。肌色や骨格ごとに12パターンに分けられ、オンラインでも診断が可能です。若い人の間では診断ブームが起こっていて、診断結果によりジュエリーの視野が広がると評判です。
2.ジュエリーコーディネートレッスン・宝石を学ぶ体験会
私たち宝飾業者にとっては意外なのですが、着け方を知らないお客さまが多いことに気づいてコーディネートレッスンを始めました。天然真珠やエマイユなど、ちょっと難しいジュエリーの価値を知ることによって販売にもつながります。
3.ジュエリー終活と遺品整理
永遠性のあるジュエリーだからこそ必要な作業ですが、お客さまにとってはどうしていいのかわからないことだらけなのです。

下島 選ばれる店になるための3つのマーケティングトレンドは、お店の独自性と絆づくりで獲得するファン・マーケティング、見込み客発見型HPの運用ウェブ・マーケティング、Googleビジネスプロフィールの活用によるクチコミ・マーケティングです。お客さまの共感や信頼を得て、生涯顧客価値の最大化を図ることが大切ですね。

 

3:業界課題と今後の可能性について

花島 宝飾と他の商売との大きな違いは「信頼」と「体験」だと思います。お客さまにとって一生に何回かしかない貴重な体験を、いかに素敵な体験にするかを、真剣に考えなければなりません。売るだけで終わりにせず、購入後のサイズ直しなどのアフターサービスもきちんと提供し、小売店としての誇りをもって正々堂々と商売するべきだと考えています。

shiho 人材育成、社員教育がまだまだ不足していると思いますし、とても大切だと思います。ジュエリー販売に携わるなら、自信をもって「似合う理由がお客さまに伝えられる」スキルを身につけたいと誰もが感じていることだと思います。「パーソナルジュエラー協会」で資格を取って、自分に似合うジュエリーが欲しいと考えるお客さまのニーズを満たしてあげましょう。デジタルの時代にあってもジュエリーは「つながり」で売れるものです。

下島 選ばれる店になるためには、独自性のある自社のポリシーを実践した取り組みが求められるということですね。ネットでもリアルでもお客さまとの絆づくりが大切だということがよくわかるお話でした。お二人ともありがとうございました。

宝飾小売店が語る、アフターコロナのマーケティング戦略2022

 

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