JJA主催パネルディスカッション レポート「販売員の“心”を動かし顧客の“心”を動かすスタッフ研修とは?」&『カタチにしたっていいじゃない、愛だって。』表彰式

JJF2025ブライダルダイヤパネルディスカッション

2025年8月27日(水)〜29日(金)東京ビッグサイトで開催中の「JJF2025」の最終日、日本ジュエリー協会(JJA)主催によるパネルディスカッションが行われました。

テーマは「販売員の“心”を動かし顧客の“心”を動かすスタッフ研修とは」。ブライダルジュエリーの現状とともに今後どのような対応が求められるかなど、たいへん意義深い内容でしたので、ここにその一部を紹介します。(取材・文:嵯峨紀子)

【パネリスト】
プリモ・ジャパン(株)人材開発部門 執行役員 園部直子 氏
(株)ヴェルティー 代表取締役社長 齋藤繁喜 氏
(株)AFFLUX 社長 執行役員 安本明姫 氏
進行:(一社)日本ジュエリー協会 ブライダルダイヤモンド分科会リーダー 大畠勝彦 氏
※以下敬称略

JJA主催パネルディスカッション レポート「販売員の“心”を動かし顧客の“心”を動かすスタッフ研修とは」JJF2025 ブライダルダイヤモンド特別イベント

ダイヤモンドエンゲージリング 購入・非購入の実態調査2024から

大畠
日本ジュエリー協会「ブライダルダイヤモンド分科会」では毎年、「購入・非購入の実態調査」を踏まえ、直近の市場動向を把握し、対策をディスカッションしています。近年の調査結果ではエンゲージリングを購入しないカップルの割合が半数を超えるなど、ブライダルジュエリーの販売現場では厳しい局面であることが浮き彫りになっています。そのような中、現場の販売員をどのように教育していくのか、各社の教育体制を伺っていきたいと思います。

各社の特徴と教育体制について

大畠
はじめに各社の特徴と実施している教育体制をご紹介します。

AFFLUX(アフラックス)
全国に80店舗のパートナーショップを展開する、ジュエリーの製造直売企業。店頭サンプルからアレンジできるオーダーメイドシステムやアフターメンテナンスの永久保証など、ものづくりの町・東大阪で誕生したジュエリーブランドらしい細やかな提案で信頼を築いてきました。社内研修では毎年行われるロールプレイングコンテストを軸に定期的にオンライン講座を開設しています。

(株)ヴェルティー
山形県最大の地域密着型ブライダルリング専門店。多くのブランドを扱い、顧客に幅広い選択肢を提供しています。社長自らが「ぽっちゃりダイヤモンド王子」として登場するエモーショナルなYouTubeが好評です。販売員の教育は日々の業務の中で実施し、現場で実践能力を身につけるスタイル。

プリモ・ジャパン(株)
アイプリモとラザールダイヤモンドを提供するプリモグローバルホールディングス株式会社の中核会社で、ブライダルジュエリーの企画・販売事業を国内外に展開しています。人財の長期育成を前提に「プリモカレッジ」を開講し、独自の教育プログラムで販売員をサポートしています。

①エンゲージリングは「いらない」という時代に

大畠
今回の調査によると、エンゲージリングの取得率は44.6%と、前回の42.8%をやや増加してはいますが、依然として「いらない」との回答が半数を上回っています。皆さんはこの「いらない」という意見に対してどのようにお考えですか?

安本(アフラックス)
有名な「給料の3ヶ月分」というキャッチコピーが浸透し、エンゲージリングを送るのが一般的だった時代から消費者の意識が変わり、物価の高騰や生活習慣の変化とともに減少してきたのだと思います。

齋藤(ヴェルティー)
婚約儀式の簡略化で贈らないスタイルが増えたと感じます。また、男性が贈るものという価値観に違和感を抱く消費者も増えています。エンゲージリングを贈るという素敵な文化を絶やさないよう、なぜ婚約指輪を贈るのかを伝えるところから始めなければと思っています。販売員自身が自信を持って伝えられるように育ってほしいですね。

園部(プリモ・ジャパン)
カップルの持つ価値観や金銭的背景はさまざまであることを踏まえたうえで、希望を聞き出し、共感をもって提案できるように人間力を養っていくことを目標にしています。

Summary①
エンゲージは、なぜ必要なのか?→意味と理由を伝える。販売員のスキルがポイント

②販売員教育・研修の必要性について

大畠
実は研修はしていないという宝飾店は34.2%に上り、入社時のみが23.7%、年に1回未満が21.1%と続きます。市場縮小のせいにせず、顧客の共感を得るために販売員を指導するには?

安本(アフラックス)
弊社では社内研修、パワーアップ勉強会、ジュエリーカレッジという3方向の研修システムを採用しています。

園部(プリモ・ジャパン)
当社グループでは、人財の長期育成を前提に社員の多くを正社員として採用し、新卒・中途採用を問わず、入社後10年にわたって独自の教育プログラムを施す「プリモカレッジ」を開講して、「マインド(心・気持ち・考え方)」「スキル(技術・能力)」「ナレッジ(知識・知恵)」の3つの柱に沿って、ホスピタリティの基礎となる人間力を養っています。

齋藤(ヴェルティー)
当社は規模的に、研修期間をまとめて取ることが難しいので、日々の仕事の中で学んでもらうようにしています。現場で一人一人の感動エピソードを積み上げ、お客様の生の声を受け取ることで得られる学びを大切にしています。忙しい日々の業務の中でも30分ほどの単位でならマンツーマンでロールプレイングなどの研修はできます。お客様に「私のための提案」と感じてもらえるよう指導しています。

私が先代から受け継いだのは、お客様に会いに行きたいと思ってもらえるような人間関係を築きなさいという教えです。ブライダルは人の幸せに寄り添うことができる誇りある仕事です。お客様の喜びは、我が喜びだという自覚を日々感じることができる夢のある仕事です。

安本(アフラックス)
大阪のハービスプラザにある旗艦店で行うロールプレイングコンテストの結果をどのように接客に落とし込むかは、感覚的なものではなくデータで把握するようにしています。オンラインセミナーは自由参加ですが毎回30名ほどが受講しています。私自身はヒコ・みずのジュエリーカレッジでマーケティング講座を受け持ち、学習の機会を提供しています。

園部(プリモ・ジャパン)
プリモカレッジでは人間力を上げ、心を育てることを旨としていますが、入社年度ごとに合わせたカリキュラムで10年間続けます。特に入社から3年は対面で行うことにしています。ここでは労働力を割かれるデメリットよりも、一生に一度のお買い物をサポートするために必要なプロセスと考え、些細なことも話し合える場として大切にしています。

Summary②
販売員のキャリアや個性に応じて、時代とともに、アップデートしながら教育・研修を。

③お客様の背中を押すキーワードは?

大畠
ブライダルジュエリーの販売、接客において、お客様の背中を押すようなキーワードがありましたらご紹介ください。

安本(アフラックス)
婚約指輪が廃れている原因の一つに、カップルがお互いに意思疎通が取れていないパターンがあると考えています。このようなカップルの場合、相手には言いにくいことでも販売員になら言えるのではないかと思うのです。カップルごとにお話を聞き出すようにできれば、対話の糸口になるのではないでしょうか。

齋藤(ヴェルティー)
私はリアルなエピソードがお客様の共感を呼ぶと思っていて、日常の中で「幸せだな」と感じるエピソードを次のお客様に伝えるようにしています。例えば、お帰りになるお客様をお見送りしていると、自動車の中で女性がずっと指輪をした左手を幸せそうに見つめてるこたことがありました。こういうエピソードをお客様にお話しするようにしています。また日常の中で指輪を着けていたときの嬉しいシーンなどもお伝えしたりします。指輪を贈られるとこんなに嬉しいんだ。という実際の物語を一人ひとりが自分の実体験の中で見つけていくことが大切だと思います。マニュアル化できることではないけれど、日々の業務を積み上げる中でスペシャルワードを紡ぐことができるよう心がけています。

園部(プリモ・ジャパン)
お客様の背中を押す手段の一つとして、パーソナルハンド診断で似合うものを見つけるサポートツールを活用しています。専用の計測ツールを使って、手の形や大きさ、指の長さや水かきの深さなど細部までチェックし、お客様に似合うデザインの傾向をお伝えする独自のメソッドです。

Summary③
モノを売るためのトークではなく、心を開き、共感を得るトークが購入につながる

 

④販売員のモチベーションを上げるには?

大畠
ブライダルジュエリーショップにおいて、販売員のモチベーションの維持向上はお客様の満足度や売上に直結する重要なポイントだと思います。皆様の会社では販売員のモチベーションに対してどのような配慮をされていますか?

園部(プリモ・ジャパン)
プリモ・ジャパンでは、従業員の接客レベルの向上やモチベーションの維持を図るためにプリモアワードを設けています。顧客志向な接客ができている販売員を表彰する勲章制度で上位者は特別なバッチで讃えられます。教育と関連付けてちょっとしたピリオドを打ち、モチベーションの維持に努めています。

安本(アフラックス)
お客様一組ごとに使っていい予算があり、販売員が自分の裁量で接客できる余白を持たせています。

齋藤(ヴェルティー)
以前は売れるブランドが偏っていたのですが、販売員が「今月の推奨ブランド」や「8月はインフィニティデザイン」などのテーマを決めて、自分が主体であると自覚を持つように企画しています。あとJCの資格取得費用を出しバックアップしています。

安本(アフラックス)
Z世代はキャリアアップが得られると素直に頑張る傾向がありますね。J Cの教材の内容はベテランになるほど興味を持って見られていると感じます。

園部(プリモ・ジャパン)
当社ではJ Cの資格取得率が90%以上で、持っているのが当たり前という企業風土です。

大畠
J Cの資格取得者の9%がプリモ・ジャパン在籍者で、名刺などにもしっかりと明示されていますね。

安本
J Cの資格取得は現場の離職率を下げる効果も期待できます。

齋藤(ヴェルティー)
JJAが採用された新たなブライダルジュエリーのキャッチコピー『カタチにしたっていいじゃない、愛だって。』をJJAにお願いして、売り場でのμPOPやトークに活用しています。次世代にブライダルリングの文化を伝えるという使命を業界全体で支えていければと思っています。

Summary④
販売員のやりがいを育てることで顧客が共感する、魅力的な店舗に。

大畠
今日ご紹介した「ダイヤモンドエンゲージリング 購入・非購入実態把握調査2024」についてはJJAのホームページから、JJA会員限定ですがご覧いただけます。2025年版については年内をめどにJJA会員へむけて公開予定です。本日はまことにありがとうございました。

『カタチにしたっていいじゃない、愛だって。』表彰式&アンミカさんのトークショーを開催

パネルディスカッション終了後は、JJAダイヤモンドエンゲージリング普及のために一般公募された中から最終決定したキャッチコピーが披露され、考案者の表彰が行われました。その後、タレントのアンミカさんが登壇し、「ブライダルダイヤモンド トークショー」が行われました。

ダイヤモンドエンゲージリングキャッチコピー決定案
『カタチにしたっていいじゃない、愛だって。』

カタチにしたっていいじゃない、愛だって。JJA表彰式JJA長堀会長(左)から、受賞者された大鳥 雄介(右)さんへ、ジュエリーを詰め合わせた豪華宝石箱が賞品として授与されました。

 

 

 

 

 

 

 

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