JMG インタビュー vol.13.サロン・ド・サセ / 創業当初からの想いと伝統を未来に伝える宝飾店

サロン・ド・サセ
佐瀬社長
雅晴常務

株式会社サロン・ド・サセ(本店:栃木県小山市)
代表取締役社長 佐瀬 英夫 氏
常務取締役 佐瀬 雅晴 氏

JMGインタビューの第13回は、栃木県小山市で時計・宝飾の専門店と修理専門サロンを展開する、株式会社サロン・ド・サセの佐瀬英夫社長と佐瀬雅晴常務にお話を伺いました。
メインショップの「サロン・ド・サセイオンモール小山店」に併設する形で、2022年1月に「とちぎ時計宝石修理研究所」をオープン。
創業110周年を超えてなお、前進を続ける老舗ジュエラーのフィロソフィーとは何かをお聞きしました。
(取材・文:嵯峨紀子)

とちぎ時計宝石修理研究所

お客さまへの温かなもてなしは100年前のまま

1912年に栃木県上都賀郡足尾町で、初代の佐瀬 孝三郎氏が時計貴金属店「佐瀬時計店」を創業。
創業当時は時計と貴金属を中心に、電気器具なども扱っていたそうです。
時計と同じ精密機械だった蓄音機の販売修理をしていたことからレコード販売も手がけるようになり、のちにレコードショップ(現在は廃業)も展開した歴史があります。

創業の地である足尾町は当時、足尾銅山全盛の時代。
1916年ごろには、栃木県内で宇都宮に次ぐ人口を抱える賑わいだったといいます。
当時は、午後3時に銅山の仕事を終えて下山してきた坑夫たちが佐瀬時計店に集まり、毎日のように店内で酒盛りをしたそうで、ときには夕食をともにすることもあり、佐瀬一家と足尾銅山の坑夫たちは家族同然の関係でした。
当時から、店という場を使って人と人との交流を深める「サロン(=社交場)」を提供していた歴史が「サロン・ド・サセ」の店名の由来であり原点なのです。
これからも、お客さまにとっての「サロン」でありたいという願いが込められています。

佐瀬時計店
佐瀬時計店

現社長にとってサプライズだった事業継承

常務の雅晴氏が、ITベンチャーの人事の職を辞してサセに入社したのは2021年のこと。
三代目である英夫社長にとってはご子息が「継いでくれたらありがたいが期待はしていない」というスタンスだったため、雅晴氏が入社の意向を告げたときは驚いたそうです。
一方の雅晴氏は業界を含め、今後の見通しが立たないというリスクを背負うため、事業継承するうえで大きな覚悟が必要だったといいます。
ただ、危機的状況に置かれた方が仕事の面白味を感じたという過去の経験から、引き継ぐことを決意したそうです。
むしろ、店が順風満帆なら先延ばしにしていたかもしれないといい、逆境を楽しむバイタリティとプラス思考が窺えました。

雅晴氏は宝飾業界の印象として、市場が縮小していくスピードよりも、業界で働く人や企業が減っていくスピードの方が早いのではないかと実感しているそうで、今までのやり方に囚われずにチャレンジする人が増えればまだまだ商機が掴めるのではと考えています。
ここにサロン・ド・サセを継いだ理由の一つがあるとのことです。

サロン・ド・サセ

サセの想いを言葉にして協働意識を持つ

雅晴氏は入社後、サロン・ド・サセの「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定とロードマップを作成します。
それは、これまで社内でそれとなく語り継がれてきた方針を、明確な言葉と図式に表したもので、サセが歩むべき道をわかりやすく言語化した羅針盤ともいえます。

雅晴氏がこれらを作成した背景は、三つあります。
一つは、社員がどういう気持ちで働いてきたかを知ること。二つ目は、社員の今後に対する不安を払拭すること。
そして、三つめは、今後「変えるべきこと」と「変えるべきではないこと」を明確することという目的がありました。
今までの人生で端的な言葉で表すことの大切さを痛感していたからこそ、自社が大切にしていくことをみんなで再認識していきたかったのだといいます。
また、ミッションは将来を通じて不変的なものですが、ビジョンとバリュー、そしてロードマップは企業の成長や時代の変化とともに変わるものだと説いており、内容はメンバーと定期的に見直していくそうです。

サロン・ド・サセ

LINE公式アカウントの開設でカジュアルなコンタクトを

この1〜2年、デジタルトランスフォーメーションにも積極的に取り組んでいます。
LINEとSEO対策は注力しているそうで、徐々に効果を実感しているといいます。
中でも、お互いの好きな時間、好きな場所で気軽なコンタクトが密に取れるLINEは接客を強みとしている店舗にとって、大きな差別化できるポイントだと感じているそうです。
リピーターこそまだ少ないですが、LINEをみてイベントにご来場いただけるお客様も徐々に増えており、また、納品のお知らせや修理や見積もりの連絡に言い間違いや認識違い違いのトラブルがなくなり、単に販促としての側面だけでなく、新しいコミュニケーションの手段が増えたと感じているそうです。

サロン・ド・サセ

時代が変わっても決して変えないのは「サロン」の機能

今後の展望をお聞きしたところ、導入を決めたデジタルジュエリーの活用を含め、製造小売業に近い柔軟な業態を目指したいとのこと。
キャッシュが限られている地方の小売店なので店舗を増やしてチェーン展開する方向ではなく、自社の強みである接客力を活かすために、ITをうまく融合させながら小回りの効くビジネスを地元栃木から展開していきたいということでした。

時代とともに変化することはあっても、変えることがないのは「サロン」の部分。親しい友人の家を訪ねるようにすべての年代のお客さまが気軽に立ち寄ることができる宝石・時計の専門店でありたいというサセの基本姿勢は今後も変わることはありません。最終的にはファンづくりに尽きるという、サセの恒久的な方針は
「ときめきと感動をサセとともに」
というスローガンに集約されているのです。

サロン・ド・サセ

変革の背中を押してくれるJMG

JMGの四代目会長を長らく務めた佐瀬社長は、JMGの土壌づくりにも深く貢献していただいた歴史があります。
次世代の雅晴氏に、JMGとどのような関係性を望むのかお聞きしたところ、自社の「変えていくべき部分」について助言を得て、背中を押してもらうようにとのことでした。
JMG自体が活性化していることが加盟店にとっての一番のメリットであり、今後会員各店が世代交代をしていくうえでも重要なナビゲーターとなると述べてくださいました。

株式会社サロン・ド・サセ

代表者:佐瀬 英夫 氏
創業:1912年
【本部】
〒323-0025 栃木県小山市城山町3丁目11番5号
TEL. 0285-25-4649

事業内容:時計の販売・修理とジュエリーの販売・企画・製造・修理・リフォーム

HP:https://salondesase.co.jp/

 

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