こんにちは、PR現代の下島です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
本日は、百貨店でのV字回復の事例、・三越伊勢丹HDの話題です。
先日、弊社が主宰するジュエリーマーケティングの実践研究会「JMG」の会長、花島路和社長(ジュエリーハナジマ 東京都江戸川区)よりこのTV番組を紹介されました。
それは、BSテレ東で2024年9月5日に放送された「カンブリア宮殿」放送900回記念第一弾『”百貨店を科学する”三越伊勢丹』という番組です。
副題は『三越伊勢丹HD復活の裏側 大逆転、日本小売の未来系』
何ともそそる副題でしたので、さっそく『テレ東biz』を契約し、この番組を視聴してみました。
するとそこには「ここまで紹介するか!!」と感じたほど、三越伊勢丹ホールディングス細谷敏幸社長が取り組んできた、顧客づくり戦略が披露されていました。
今回はそのポイントを私視点で紹介します。
1:データを基に新たな顧客を呼び込む各種施策「好感度上質消費戦略」
三越伊勢丹HDは、百貨店ならではの「好感度消費戦略」を志向、若者や家族から魅力ある百貨店づくりに注力しています。
例えば、日本橋三越の屋上ではビアガーデンではなく、BBQ「グリルテラス日本橋」を開催。料金は1人6,270円ですがたいへん賑わっていました。
また夏休み期間中には「こどもお仕事体験」というイベントを開催。 小学校1〜3年生を対象に週末の朝、家族向けの体験イベントを開催し、子どもからの好感度も上げ、顧客との関係性を強めています。なお、顧客を飽きさせないために新宿伊勢丹では各階水曜日に新しいイベントに入れ替えているそうです。
2:お得なカードとアプリによる顧客化戦略「一度館内に入ったら必ず個にしたい」
「夏休みこどもお仕事体験」は、三越伊勢丹HDのクレジットカード「エムアイカード」の所有とそれと連動したアプリへの登録が必要です。そしてアプリを登録すると、個々の顧客に合ったイベントを案内してくれるといいます。
細谷敏幸社長いわく、最大のKPI(「重要業績評価指標」)は「カード会員、アプリの会員数」
モットーは「百貨店を科学する!」。
そしてマーケティングの基本コンセプトは 「マスから個へ」だそうです。
「マスから個へ」というコンセプトの意味について、細谷社長は番組の中で次のように語っています。
「スタートはマスへの発信だが、一度館内に入ったら必ず個にしたい。 店頭客の7割は(カードやアプリからの情報解析により、年代、家族構成、趣味・志向などを)識別している。誰もが持つちょっとした購買意欲を刺激する発信を行っています」。
「人の力とデジタルの力でそのお客様は何が必要かを考えて、新しい提案をし続ける」。
そして「すべての数字について科学する」(細谷社長)だそうです。
カード会員、アプリの会員の特典は「三越伊勢丹カスタマープログラム サービス」としてしくみ化されています。
そのサービス内容は、ビフォア、ジャスト、アフターと多面的で訪問回数、単価アップ、満足度向上に役立っているといいます。同社のホームページでかなり詳しくそのサービス内容が紹介されていますので、ぜひご覧になってみてください。
「三越伊勢丹カスタマープログラム サービス」はこちら>>
3:買う気をアップさせる隠れ個室「ザ・ラウンジ」
「三越伊勢丹カスタマープログラム サービス」の中でも特にTV内で紹介していたのは、VIP専用の個室対応『ザ・ラウンジ』の存在です。
年間購入客300万円以上の顧客にはVIP用の個室が活用可能となっています。
『ザ・ラウンジ』は日本橋三越本店と新宿伊勢丹とのみ、「各店サロン&ラウンジ」は16店舗に設置。
詳しくはこちらから 確認できます。
「各店サロン&ラウンジ」写真は三越伊勢丹のHP「三越伊勢丹・カスタマープログラム サービス」より
ラウンジでは飲み物・お菓子が無料て提供される。
日本橋三越本店や新宿伊勢丹では平日500〜600名、土日で700〜800名が利用するという。
高級腕時計の接客専用個室もあり、隠れ個室では個別の服を準備し提案もしてくれる。
数量限定のワインが先行購入販売等の情報もアプリで発信されるそうです。
4:各店ごとにコンセプトを明確に!
日本橋三越と、新宿伊勢丹はそののれんをはっきり分け、独自性を打ち出しています。日本橋三越は「伝統芸術文化」、新宿伊勢丹は「ファッション」と色分けを明確にしたのも細谷社長になってから。
細谷敏幸社長いわく「百貨店は、2.8次産業」。ものづくりとサービス業の融合業態と捉えています。
「居心地とワクワク感を出す。 隠し部屋も実は各店にある。 バイヤー アテンダント(販売員) 外商部員 これが三位一体となったようなレベルを1人でやるくらいのレベルになると個のお客様にしっかり対応できると思っているます」。
「一生に1回来てもらえればよい。ただその1回を識別する。そして情報を提供する。そうすれば2回、3回になるかもしれない。 今後は『世界アプリ』を立ち上げます」。
番組内では、細谷社長が各店をまわり、社員と対話し質問を受け、戦略の浸透を図っている様子も紹介されていました。
5:感想およびポイント
私は年に数回、新宿伊勢丹と日本橋伊勢丹には視察を兼ねて入ってはいましたが、ここ最近は購入したこともなく、以前は使っていたMIカードもやめてしまいました。
噂には聞いていましたが、ここまでしっかりマスで取り込み顧客化するマーケティング戦略を構築しているとは!
この戦略の中に、宝飾専門店(特に路面店)の活路のヒントがあるように思いますし、JMGメンバー店の中にもこれにかなり近いことをしている会員さんもいることを感じました。
・マスから個へ:新規客づくりから顧客化のしくみがあるか、有効化を点検し改善する
・地場の特徴を活かし、個性を出す
・家族との接点をつくる、そのカギは子供の巻き込みにある
・すべての数字を科学する。数字、事実、現場からヒントを得る
・社員と対話し、そしてトップの姿勢を伝える
ざっとあげただけでもこれだけのポイントが浮かんできました。
自社における取り組みとの比較や、学びアレンジして取り入れるとしたらどんな点があるか、社内でディスカッションしてみるのも面白いと思いました。
ぜひ皆さんも『テレ東biz』でご覧になり、また実際に店舗に足を運び体験をされてみてはいかがでしょう?
写真は通勤の帰りに日本橋の交差点から撮影した「日本橋三越」です。
JMGは宝飾小売業のマーケティング実践研究会です
(株)PR現代が主催する「JMG(ジュエラーズ・マインドグループ)」は花島路和氏(ジュエリーハナジマ代表)を会長に、48社が加盟する宝飾小売業のマーケティング実践研究会です。一商圏1社(本社 市区村ごと)が加盟でき、隔月での定例勉強会をはじめ、情報交流、個別相談、WEBや販促物などの会員割引制作などを行なっています。詳しくは、JMGのホームページ をご覧のうえ、お気兼ねなくお問い合わせください。
◇JMGご紹介サイト https://pr-g.jp/promotion/jmg
◇JMGメンバーインタビューページ https://pr-g.jp/category/jmg/jmg-interview
◇お問い合わせ:PR現代 03-3639-1253