新年あけましておめでとうございます。
PR現代の下島です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2026年という新しい年を迎え、私たちは今、大きな転換点に立っています。デジタル化の加速、消費者行動の多様化、そしてAI技術の飛躍的な進化。これらの波は、宝飾店、着物専門店、メガネ専門店といった私たちの業界にも確実に押し寄せています。
しかし、だからこそ、今こそ私たちは問い直す必要があるのです。
「専門店だからこそできることは何か」
「専門店にしか提供できない価値とは何か」
その答えを見つけるために、今年私たちPR現代が皆さまとともに掲げたいキーワードがあります。それが「3つのS」です。
Story(顧客の体験を物語にしよう)
Speciality(得意技と商品力を磨き上げよう)
Specialist(人×AI×愛で感動を届けよう)
本日は、この3つのSについて、専門店経営者の皆さまとともに考えていきたいと思います。
第1のS:Story ―顧客の体験を物語にしよう
私たちが日々接するお客さまには、それぞれに物語があります。
結婚20周年を迎えるご夫婦が、改めてお互いへの感謝の気持ちを込めてジュエリーを選ぶ瞬間。成人式を迎える娘さんのために、母から娘へと受け継がれる着物を選ぶ時間。初めてメガネをかける子どもが、新しい世界の見え方に驚く表情。
こうした一つひとつの瞬間は、単なる「買い物」ではありません。それは、お客さまの人生における大切な「物語」の一部なのです。
しかし、私たちはその物語をどれだけ大切にできているでしょうか。商品を売ることに一生懸命になるあまり、お客さまの物語に寄り添うことを忘れてはいないでしょうか。
体験を物語に変えるために
では、どうすれば日々の接客を「物語 – Story」に変えていけるのでしょうか。
まず大切なのは、お客さまの背景を知ろうとする姿勢です。「今日は何をお探しですか?」ではなく、「どんなシーンで着用される予定ですか?」「プレゼントされる方はきっとお喜びになりますね」といった、物語を引き出す会話を心がけることです。
そして、その物語をしっかりと記録し、次回につなげていく。LINE公式アカウントやCRM(顧客関係管理)システムを活用すれば、このような顧客ストーリーの蓄積と共有は以前よりずっと容易になっています。
さらに、店舗のSNSやブログで(もちろんお客さまの許可を得た上で)、こうした物語を発信していくことも効果的です。「ご結婚記念まことにおめでとうございます」といった投稿は、他のお客さまにも「このお店は一人ひとりを大切にしてくれる」というメッセージとして伝わります。
一人ひとりのお客さまに物語がある。そのことを忘れず、その物語の大切な1ページに関わらせていただいているという意識を持つこと。それが、Story の本質なのです。
第2のS:Speciality ―得意技と商品力を磨き上げよう
専門店の最大の強みは、その名の通り「専門性」にあります。
しかし、専門性とは何でしょうか。単に品揃えが豊富だということでしょうか。それとも、スタッフが資格を持っているということでしょうか。
もちろん、それらも大切です。しかし、真の専門性とは、**「他では手に入らない価値を提供できること」**だと私は思います。
「あなたの店でしか買えない理由」を明確に
以前、ある宝飾店の店主さんからこんな話を聞きました。「うちは自社でほとんどの腕時計や掛け時計を修理できます。またジュエリーの修理もかなり格安だと言われます。でも、それをお客さまにどう伝えればいいのか…」
もったいない話です。それこそが、その店の最大の「Speciality(特別な強み)」なのですから。
私がアドバイスしたのは、工房の様子を動画で撮影してウェブサイトやSNSで公開すること、そして店頭に職人さんの作業風景の写真を飾ることでした。すると、「よそで断られたがこちらでは修理可能か?」というお客さまからの問い合わせが圧倒的に増え始めたのです。
専門店の強みは、必ずあります。それは、特定の産地との強いつながりかもしれませんし、何十年と培ってきた修理・アフターサービスの技術かもしれません。着物店であれば、着付けサービスや七五三の神社とのつながり、地元の歴史に詳しいことかもしれませんし、メガネ店であれば、視力測定や顔型に合わせたフィッティングの技術かもしれません。
商品力を磨き続ける姿勢
また、商品力の磨き上げも欠かせません。
昨年、とあるメガネ専門店が大きく業績を伸ばした事例を耳にしました。その店では、メガネのフレーム選びの前に、どのような目的やシーンで使うかのヒアリングや視力測定、レンズ選びを重視するというのです。
「うちに来れば、どこにもない快適なメガネ(レンズ)が作れる!」という評判が広がり、遠方からもお客さまが訪れるようになったそうです。
これは宝飾店や着物店にも当てはまります。大手量販店ではできない、専門サービスやここでしかなかなか買えない商品が、専門店の武器です。
得意技を看板にする
拙著『ザ・ネクストショップ』でも紹介しましたが、「○○といえばあの店」と言われる看板商品、看板サービスを持つことの重要性は、今さらですがこれからの時代さらに高まっていきます。
原産地の確かな天然のカラーダイヤならあの店、振袖の着付けならあの店、遠近両用メガネの調整ならあの店。そう言われる「得意技」を明確にし、磨き上げ、そして積極的に発信していく。それが専門店の生き残り戦略です。
第3のS:Specialist ―人×AI×愛で感動を届けよう
最後のSは「Specialist(スペシャリスト)」です。
専門店の価値は、最終的には「人」に集約されると言っても過言ではありません。どんなに素晴らしい商品があっても、どんなに立派な店舗があっても、そこで働く「人」の質が伴わなければ、真の専門店とは呼べません。
専門家としての人材育成
宝飾店であれば、ジュエリーコーディネーター、真珠のスペシャリスト、ダイヤモンドのグレーディングができる人材。着物店であれば、着付けの技術はもちろん、TPOに合わせたコーディネート提案ができ、着物の歴史や文様の意味を語れる人材。メガネ店であれば、視力測定の技術に加え、顔型や肌の色に合わせたフレーム選びをアドバイスできる人材。
こうした専門性の高い人材を育成することが、これまで以上に重要になってきています。
AIとの共存共栄
そして、2026年の今、私たちは新しい仲間を得ています。それがAI(人工知能)です。
「AIに仕事を奪われるのでは?」という不安の声も聞こえてきます。しかし、私はそうは思いません。AIは私たちの仕事を奪うのではなく、私たちの能力を拡張してくれるパートナーなのです。
例えば、在庫管理や顧客データの分析をAIに任せることで、スタッフはより多くの時間をお客さまとの対話に使えるようになります。AIが過去の購買履歴から最適な商品をレコメンドしてくれれば、接客の質も向上します。
また、AIを活用したバーチャル試着システムを導入すれば、お客さまは気軽に多くの商品を試すことができます。着物の柄合わせをAIがシミュレーションしてくれるアプリ、メガネをかけた姿をスマートフォンで確認できるサービス。こうしたテクノロジーは、お客さまの体験価値を高めてくれます。
最後は「愛」で勝負する
しかし、最終的に勝負を分けるのは「愛」だと私は確信します。
商品への愛、お客さまへの愛、そして地域への愛。
AIがどんなに進化しても、お客さまの目を見て「本当にお似合いですよ」と心から伝える温かさ、お客さまの喜ぶ顔を見て自分も嬉しくなる気持ち、「このお客さまに最高の商品をお届けしたい」という情熱。これらは、人間にしか持ち得ないものです。
ある宝飾店のオーナーが、こんなことをおっしゃっていました。「私は、お客さまに商品を売っているのではありません。お客さまの人生の大切な記念日を、より良い最高な瞬間にするために、ジュエリーのプロとして関わらせていただいているのです」
この言葉こそが、専門店のスペシャリストとしての本質を表していると思います。
人間の温かさ、AIの効率性、そして商品やお客さまへの深い愛情。この3つが融合したとき、真の「Specialist」が生まれるのです。
3つのSで、次の時代をデザインする
Story、Speciality、Specialist。
この3つのSは、決して別々のものではありません。むしろ、深くつながり合っています。
お客さまの物語に寄り添うからこそ(Story)、その方に本当に必要な商品が分かり、専門性を発揮できます(Speciality)。そして、専門家としての知識と情熱を持った人間が(Specialist)、お客さまに忘れられない体験という物語を提供できるのです(Story)。
この好循環を生み出すことができれば、専門店は必ず生き残り、繁栄していけると信じています。
2026年、私たちPR現代は、この3つのSを軸に、宝飾店、着物専門店、メガネ専門店の皆さまとともに、次の時代をデザインしていきたいと考えています。
具体的には、顧客ストーリーをみえる化するためのホームページの制作、他店との差別化ポイントをPRするための動画制作、スタッフの専門性を高めるための研修プログラム、そしてAIツールの導入と活用支援など、さまざまな形で皆さまのお役に立てればと思っています。
弊社が主宰する宝飾小売業のマーケティング実践研究会「JMG」でも、この3つのSをテーマに、具体的な成功事例や実践手法を共有していく予定です。
おわりに
冒頭でも申し上げましたが、私たちは今、大きな転換点に立っています。
しかし、それは決して恐れるべきものではありません。むしろ、専門店だからこそ提供できる価値を再定義し、新しい形で輝くチャンスなのです。
Story(顧客の体験を物語にしよう)
Speciality(得意技と商品力を磨き上げよう)
Specialist(人×AI×愛で感動を届けよう)
この3つのSを胸に、一緒に次の時代をデザインしていきませんか。
2026年が、皆さまにとって新たな飛躍の年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。そして、私たちPR現代も、皆さまとともに成長し、皆さまの価値と未来を共に創ってまいります。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
株式会社PR現代 代表 下島 仁







