きもの専門店の「丸太や」(神戸市、三木弦社長、http://marutaya.com)は、店内で年2回(春、秋)開催するクラシック音楽の「丸太やフレンドリーコンサート」をはじめ、バイオリンなど楽器柄のオリジナルきものを製作していることから〝音楽ときもの〟の楽しさをお客さまに提案しています。
さらに今年、ネットショップのリニューアルを行い、Instagram(インスタ)、FacebookページなどのSNSに力を入れていることもあり、「現在、ネットを通してお客さまの来店が多くなっています」(三木社長)。(取材・文:西本俊三)
家族でクラシックコンサート
同店は、JR元町駅・阪神元町駅から数分、元町商店街の一角に店舗を構えています。「着物が好き!音楽が好き!――そんな思いに溢れる神戸の小さな呉服店です。趣味が高じて店内には音楽が溢れています」という同店。クラシック音楽を演奏する家族で経営しています。「丸太やフレンドリーコンサート」では三木社長がバイオリン、父久雄会長がチェロ、母成美さんがビオラを演奏し、好評を得ています。
「丸太やフレンドリーコンサート」
4月末に開催の春のコンサートは、兵庫県に緊急事態宣言が発令されたことから、無観客・ライブ配信(インスタ、FBページ)を行いました。
「父は大学でチェロをやっていて、卒業後はアマチュアのオーケストラに入っていました。母は音大で教師をしていてビオラを演奏します。私は小学校の頃からバイオリンをやっていました。2009年に入社すると私がバイオリンで入り、ときどき両親と一緒に三重奏をしていました」という音楽一家。店内でコンサートを開催するようになったのは、「きものと音楽」のことをより多くの方に知ってもらおうとスタート。コンサートと同時に「きもの生活の中に楽器柄のきものを…」とバイオリン、ピアノ、マンドリン、ホルンなど楽器の柄をオリジナルで製作しています。例えば、チェロ、音符、ピアノ柄の本藍染浴衣、小紋、花緒に音符柄をあしらった草履、藍染コースターなどを店頭で紹介しています。
SNSなどで情報を発信
1年以上続くコロナ禍の中、きもの業界も苦戦を強いられていますが、三木社長は現況について次のように話しています。
「きもの業界はずっと厳しいと言われています。コロナ禍ではありますが、ネット配信は以前からもやっていました。現在、店頭での売り上げ以上にオンラインでの注文が増えています。今年、HPのネットショップをリニューアルしたこともあり、お客さまからの注文が着実に増えています。また、催事などの情報はインスタ、FBページで発信していますので、県外からもお越しいただいております」
インスタ、FBページは三木社長の奥さん・麻衣子さんが担当し、商品やコンサート、催事などの情報をアップしています。現在、フォロワーは、インスタ9000人、FBページ3000人、ツィッター1400人。
「きもの好き、音楽好きのお客さまが興味を持って見ていただいています。楽器柄のオリジナルを製作していますが、お客さまの好きな柄をつくることもできます。写真を持って来ていただいて、希望をお聞きしてつくることもできますので、そういう店の特色を多くの方に知っていただきたい」(三木社長)。
「丸太やフレンドリーコンサート」では、きものを着て演奏するなど〝音楽ときもの〟の楽しさをアピール。それは音楽だけのことではなく、「さまざまなシーンできものを着て楽しんでほしい」と三木社長。現在、麻衣子さんと共に着付け教室の講師を担当し、お客さまの〝きもの生活〟をサポートしています。
オリジナルの本藍染浴衣
三木社長夫妻
店舗外観