絹のオンラインショップ「SILK365」をオープン/「伊と幸」(京都市) 北川幸社長

絹の可能性にチャレンジ!

医療従事者や高齢者施設従事者に「絹マスク」を配布

「伊と幸」(京都市)社長 北川幸 様

絹白生地メーカーの「伊と幸」(京都、北川幸社長、www.kimono-itoko.co.jp)は、純国産絹のブランド「松岡姫」をはじめとする、高品質な絹の白生地を中心に扱っていますが、長年同社が培ってきた絹素材の伝統美をインテリア事業に生かした「絹ガラス」や最近ではシルクオーガンジーを使用した洗える「絹マスク」など絹の可能性にチャレンジしています。今年は京都市のプロジェクトとして医療従事者や高齢者施設従事者に絹フィルター付きの「絹マスク」開発をはじめ、京都府のプロジェクトではホテルの〝シルクステイ〟企画としてシーツなどシルク製品を手掛け、オンラインショップもオープンしました。北川社長に近況をお聞きしました。(取材・文:西本俊三)

 

絹の白生地メーカーとして今出来ること

 

――コロナ禍の中、「絹マスク」は御社ならではの取り組みだと思います。

「コロナの影響は今も大変ですが、弊社として出来ることは何かとずっと考えております…。その1つが絹の機能性とファッション性を加味した『絹マスク』の製作ですが、おかげで好評をいただいております。そんな中、日々コロナと闘っておられる医療従事者の方や高齢者施設の方に使ってもらえる『絹マスク』が出来ないかと考えていましたが、今年に入り、いくつかのプロジェクトがスタートしています。例えば、京都市のプロジェクトでは医療従事者や高齢者施設の方に着けていただく絹フィルター付きの『絹マスク』です。また、京都府のプロジェクトでは〝シルクステイ〟企画を進めているところです」

 

抗菌性の絹フィルターを開発

――医療従事者や高齢者施設の方の「絹マスク」といいますと…。

「これは京都市さんの『京都発革新的医療技術研究開発』で取り組んでいるのですが、抗菌性の絹フィルター付き(不織布)の『絹マスク』です。介護施設などでは利用者にとってマスクが苦しくて外すことがあるそうですが、そうすると知らない間に感染することがあるとお聞きしています。弊社の『絹マスク』は抗菌性の絹フィルターをマスクポケットに差し込めるため、ご安心いただけますし、表面は肌に優しい柔らかい生地で仕上げています。アトピーや痒みなどの不快感を緩和し、例えば感覚過敏の方でも着用していただくことができます。実は今、京都市さんの方から介護施設の利用者の方や京都大学の先生方に着用時の感想などアンケートに協力していただいているところです」

――抗菌性の絹フィルター付きの「絹マスク」は安心して着けてもらえそうですが、開発する上でご苦労はございましたか?

「この『絹マスク』の原料は今まで廃棄していた繭殻(まゆがら)を使用しています。弊社の和装事業は契約している養蚕農家で蚕種『松岡姫』を育み、良い生糸の生産に努めているのですが、その蚕種製造の過程で発生する繭殻を不織布の原材料に生かしています。つまり、蚕(かいこ)の交配時に蛹(さなぎ)が出た後の『出殻繭』を処分せずに使用できることになりました。今この大変な時に、社会のお役に立てることが出来るのは有難いですし、絹の可能性を広げるきっかけになればと思っております」

 

伝統産業と観光資源のタイアップ

――〝シルクステイ〟企画に関してはいかがでしょうか?

「こちらは京都府さんのプロジェクトですが、今、コロナ禍でホテルが苦戦しています。きもの業界も今まで通リだと厳しいと思いますが、そこで、京都のホテルなどで宿泊される方々に絹のシーツや枕、ベッドカバーなどシルクに包まれるというテーマの〝シルクステイ〟企画が進んでいます。伝統産業と観光資源をタイアップさせることで、コロナ社会に対応したビジネスモデル事業になります。こちらも絹の可能性を広げるきっかけになればと思っております」

「それと、弊社のビル4階では絹の白生地ギャラリーとして、染める前の白生地をご紹介してきましたが、加えて、絹マスク、絹の扇子、日傘、絹ガラステーブルなどの新しいアイテムも含めて、365日暮らしに寄り添う絹をテーマに、ECサイト https://silk365.jp を本年年頭にオープンしました」

「実は、2階にテナントとしてご入居のモデルルーム様は、この1月末に開業され、ここでも『絹ガラス』をご採用いただいております。また、1階に新しくコンビ二様が入られるのですが、そちらでは『絹マスク』を置いていただくことになっており、2月26日のオープンに向けて協業させていただきます。弊社の商品を多くの方に見ていただけるようになればと思っております」

4階「絹の白生地ギャラリー」では絹マスク、絹の扇子など新アイテムも紹介。

 

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