こんにちは、PR現代の下島です。
『論語』は、儒教の根本的な考え方を伝える書物として、中国だけでなく、日本や朝鮮半島など東アジア地域にも大きな影響を与えてきました。このたび、論語の「言語」篇を中心に、経営者が学ぶべき31の教えを厳選し、現代のビジネスシーンに即した解説を加えました。
専門店経営の指針となり、組織をより良い方向へ導く一助となれば幸いです。今月は後編のご紹介です。
前編はこちら:『論語』言語篇 経営者のための31の教え(前編)
16.「詐(いつわり)りを逆(むか)えず、信ぜられざるを億(おもんばか)らず、そもそもまた先ず覚(わか)る者は、これ賢か。」
漢文・読み
不逆詐、不億不信、抑亦先覺者、是賢乎。
いつわりを むかえず、せんぜざるをおもんばからず、そもそも また まずわかるものは これ けんか。
要約
相手を疑いすぎず、正しく見抜く力を養おう。
解説
経営者は慎重であるべきですが、過度に相手を疑うと、組織の信頼関係を損ないます。先見の明を持ち、真実を見抜く目を養うことが重要です。
17.「賢を見ては齊(ひと)しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みるなり」
漢文・読み
見賢思齊焉、見不賢而内自省也。
けんを みては ひと しからんことを おもい、ふけん を みては うちに みずから かえり みるなり。
要約
優れた人から学び、愚かな行動を見たら自省する。
解説
優れた人を見たら学び、自分も同じように成長することを目指し、不適切な行動を見たら自分に同じことがないか反省する。経営者は学び続ける姿勢が大切です。
18.「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達せしむ」
漢文・読み
己欲立而立人、己欲達而達人。
おのれ たたんと ほっして ひとをたて、おのれ たっせんと ほっして ひとを たっせしむ。
要約
自分が成功したければ、他人の成功も支援せよ。
解説
経営者は、自分の成功だけでなく、周囲の人々の成長や成功を支援することで、より大きな成果を生み出せます。共に発展する姿勢が重要です。
19.「徳は孤ならず、必ず隣あり」
漢文・読み
徳不孤、必有隣。
とくは こ ならず、かならず りん あり。
要約
徳を持つ人の周りには、自然と良い人が集まる。
解説
誠実で徳のある人は、孤立することはなく、自然と良い人々が集まり協力関係が生まれます。経営者も誠実な行動を心がけ、良い人材と共に成長する環境を作るべきです。
- 「三思而後行」
漢文・読み
三思而後行。
さんし して のち に おこなう。
要約
重要な決断は慎重に考え、軽率な判断を避ける。
解説
重要な経営判断は、焦らずにしっかりと考えることが必要です。慎重さと決断力のバランスを保ち、確実な行動をとるべきです。
21.「終わりを慎むこと始めの如くすれば、則ち事を敗ること無し」
漢文・読み
慎終如始、則無敗事。
しんしゅう しょしのごとく すれば、すなわち はいじ なし。
要約
最初の志を忘れずに最後まで続ければ、失敗はしない。
解説
事業の成功には、初志貫徹が不可欠です。最初の情熱や慎重さを維持し続けることで、計画のブレを防ぎ、大きな成果を生み出せます。経営者は常に初心を忘れずに行動することが重要です。
22.「天を怨みず、人を尤(とが)めず」
漢文・読み
不怨天、不尤人。
てんを うらまず、ひとを とがめず。
要約
運命や他人を恨まず、自分の行動を見直す。
解説
経営において困難や失敗はつきものですが、それを外部の要因のせいにするのではなく、自らの改善点を探ることが成長につながります。責任を持ち、学び続ける姿勢が大切です。
23.「禍福に門なく、唯人の招く所」
漢文・読み
禍福無門、唯人所召。
かふくに もん なく、ただ ひとの まねく ところなり。
要約
幸福も不幸も、その門が最初から決まっているわけではない。その人自身が招くものである。
成功も失敗も、自らの行動が招くもの。
解説
幸運や不運は偶然ではなく、自らの行動や選択の結果です。経営者は、自らの決断が未来を形作ることを理解し、常に最善の選択をする努力を怠らないことが重要です。
24.「過ちては則ち 改むるに憚(おそ)るる勿れ」
漢文・読み
過則勿憚改。
あやまてば すなわち あらたむることを おそるるなかれ。
要約
間違いに気づいたら、ためらわずに改めること。
解説
経営において、判断の誤りに気づいたら素早く修正することが成功の鍵です。間違いを恐れず、柔軟に対応する姿勢を持つことで、組織の健全な成長が可能となります。
25.「剛柔並び持つ」
漢文・読み
剛柔並び持つ。
ごうじゅう ならび もちつ。
要約
柔軟さと強さを兼ね備えるのが、良いリーダーである。
解説
リーダーは、強さと柔軟さのバランスを保つことが重要。状況に応じて決断力を発揮しながら、部下の意見に耳を傾け、適切な調整を行うことが組織の安定につながります。
26.「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」
漢文・読み
君子和而不同、小人同而不和。
くんしは わして どうぜず、しょうじんは どうじて わせず。
要約
君子は、人と仲良くが、安易に同調はしない。一方、小人は、他人に安易に同調するが、真に仲良くすることはない。
君子は調和を大切にしつつ、迎合しない。
解説
経営者は、多様な意見を尊重しながらも、迎合せずに自らの信念を持つことが重要です。組織の健全な運営には、異なる意見を取り入れつつも、正しい方向へ導くリーダーシップが求められます。
「譬えば山を為るが如し、未だ一簣を成さざるも、止むは吾が止むなり」
漢文・読み
譬如為山、未成一簣、止、吾止也。
たとえば やまを なすが ごとし、いまだ いっき なさざるも とどまれば、われ とどまる なり。
要約
成功直前でやめてしまえば、すべてが無駄になる。最後までやり抜け。
解説
成功は、最後の努力が決め手となることが多いです。途中で諦めてしまうと、これまでの努力が無駄になります。経営者は、目標達成まで粘り強く行動を続けるべきです。
「小人の過ちは必ず文(かざ)る」
漢文・読み
小人之過、必文。
しょうじんの あやまちは かならず かざる。
要約
未熟な人ほど、自分のミスを隠そうとする。経営者は素直にミスを認めるべき。
解説
誤りを認めずに言い訳をすることは、組織の成長を妨げます。経営者は、失敗を隠さず学びに変えることで、組織の信頼を高めることができます。
- 「如之何(いかん)、如之何(いかん)と曰わざる者は、吾れ如之何(いかん)ともすること未(な)きのみ。」
漢文
不曰如之何、如之何者、吾末如之何也已矣。
いかん、いかんといわざる者は、われ いかんとも することなみのみ。
要約
真剣に物事を考え、どうすればいいかを自問自答しない者に対しては、他人は何も手助けできない。
解説
どうすれば問題を解決できるか、克服できるかを経営者自ら解決するために考えぬくことで、まわりは助けてくれるものである。
「教えずして殺すは、虐なり」
漢文
不教而殺、是謂虐。
おしえずして ころすは、これを ぎゃく という。
要約
教育せずに人を罰するのは、ただの冷酷な行為。指導のない叱責は意味がない。
解説
経営者は、部下が成長できるよう教育する責任があります。指導なく責めることは、不公正な扱いとなり、組織の士気を低下させる要因となります。
31.「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず」
漢文
知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。
(ちしゃは まどわず、じんしゃは うれえず、ゆうしゃは おそれず。)
要約
知恵ある者は迷わず、仁徳ある者は悩まず、勇気ある者は恐れない。経営者はこの三徳を持つべし。
解説
経営者には、冷静に状況を判断する知恵、周囲への思いやりを持つ仁徳、そして困難を乗り越える勇気が必要です。この三つの特性を兼ね備えることで、組織を力強く導き、困難な状況でも適切な判断を下すことができます。
終わりに
経営の現場では、日々多くの決断が求められます。その際に、『論語』の言葉が指針となり、経営者自身の考えを深める助けとなることを願っています。
本ブログを活用し、日々の経営に活かすことで、組織をより良い方向へ導くことができるのではないでしょうか。ご参考いただき、実践することで、共に真のリーダーシップを発揮されることを願っております。