いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ

新幹線の中でFacebookを眺めていたら、目に飛び込んできた言葉です。
この言葉は、スティーブ・ジョブズ氏が発した名言の一つです。

世の中を変えるほどの製品を生み出してきたスティーブ・ジョブズ氏が言うと
とてつもなく重い言葉に思えてきますね。

初期のマッキントッシュのパーソナルコンピュータは、
それまで入力式のコマンドでパソコンを操作する方法から
マウスを使って画面を視覚的に操作する方法へと変え、
のちにウィンドウズという形で世の中に浸透していきました。

その後、iMacの登場でパソコンの概念を変えました。
当時、カラフルなiMacが社交ダンスをしているかのように踊るCMには
心踊るものがありました。
しばらくして、当社にもiMacが導入され社内がとても明るくなったのを覚えています。

その後、iPodを発表し、1000曲をポケットの中にというキャッチコピーで
ウォークマンの市場を席巻しました。

そして、iPhoneが登場しました。
物理的なキーボードを打つそれまでの携帯電話が
スマートフォンに取ってかわるきっかけになりました。

Macbook airの発表時には、
紙封筒から取り出し、プレゼンを見ている人の度肝を抜きました。

これらの製品発表で、スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンスタイルが
あちこちで真似されたり、パロディになったりしました。

徹底的にこだわりぬいた製品づくりを行う一方で、
人に伝えるということにも徹底的にこだわり、
吟味しつくして発表してきたんだそうです。

翻って私たちは、きちんと自分たちが扱う商品の魅力を
伝えることができているのだろうかと自問自答してしまいます。

着物は、日本の伝統文化として世界に誇れるものです。
染織技術は、代々受け継がれ、
先達が築き上げてきた卓越した技術と知恵、
その土地土地の気候風土と融合することで
美しく魅力的な衣装として確立しています。
着物は単なる衣装という枠を超え、
親から子へ、そのまた子へと祈りや願いの象徴として
受け継がれる価値も持っています。
着物には、間違いなく素晴らしい価値があると思います。

しかし、着物市場の減少は誰もが認識しているところです。

売り方や流通上の構造的な問題などもあると思いますが、
そもそも、着物の魅力が正しく伝えられているのかということも考えなければいけないと
スティーブ・ジョブズ氏の言葉を読んで思いました。

着物もお店もどんなに素晴らしくても、
伝わってなければ、ないのと同じ
というスタンスに立って

どうしたら魅力が伝えられるかを色々な角度から
研究していく必要があるように思います。

素晴らしい商品や素晴らしいお店、
素晴らしい企画ほど危険とも言えるかもしれません。
そもそも素晴らしいから、魅力が伝わっていると思ってしまいがちです。

そもそも価値がないものなら、
いかにして、これを売ろうかと思案すると思いますが、

最初から価値がある素晴らしい商品やサービスだと
大して考えなくても売れるんじゃないかと考えてしまいます。

今お客様が増えているお店は、どうやってお客様にアピールしたのか?

今売れている商品は、何がきっかけでヒットしたのか?

どういうふうに伝えると相手に伝わるのか?

をとことん研究していくべきですね。

もし可能なら、呉服の日や浴衣の季節やお正月など
着物を着るきっかけになりそうな日に、
業界をあげて、着物を着る体験デーを設けたりできればいいなと思います。
このときばかりは、競合店であってもみんなが協力し一斉に体験をアピールすれば
メディアが取り上げてくれる可能性もあるし、
興味を持ってくれる人が出るかもしれません。

日頃から業界に接していると、
着物そのものの魅力はもちろんのこと、ものづくりの素晴らしさ、
問屋さんが果たしてきた役割、
小売店さんのホスピタリティやコーディネイト力など
伝わっていない魅力がたくさんあります。

また、その魅力をそれぞれのお立場の方が認識していないと感じることも多いです。

まず手始めに

事実・現実をよく見つめ、

そこから課題を発見し、

具体的な計画を立て、実行するという

SEE・THINK・PLAN・DOのサイクルを

繰り返し繰り返し行っていくことから始めましょう。

神山有史

 

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